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天国のコインランドリーで
布団を洗っている

乾燥機を回しているあいだ
少年紙を読んでいた

しかし、ふきだしはすべて空白で
内容がうまく飲み込めない

明日は傘を買いに行こう
雨 ....
柔らかい楕円の香り
肌を透かせる真白な木綿
多角形の雨おとにふれた
水彩のゆびさきは筆跡を整え
ゆるやかに乱され
空白に孕んだ風を
あたたかい命と錯覚する

あかい器官をひとつ
平原 ....
ふるさとが肺を患い
転移する酩酊は
葉桜の色をねぶり
胃壁を食む、蛇が
赤い絵の具を射精する
その、ぬけがら、父の唾液
残滓に海の香り
帆を張る空に
幼い、空腹を晒す

鉄橋、どこ ....
ゆれるかげは
やがて裸になることを口約する
樹木の些細な手ぶりと
厳粛な黙秘

光の構図は
下書きのまま刷新され
不可視の層を成し
風を生み、流体になる

渡航する小葉に
あなた ....
天国という名の池で
死を釣り上げる人がいる
町の猫たちは真夜中に駈けだし
虹色に輝く死を銜えるために
釣り人の周りに群がっている

僕の猫は平成十四年、夏
朝ごはんを残して
そのまま帰 ....
{引用=
ファミリーレストランで、家族が蟹を、食べていた。母が、父が、姉
が、蟹を。脚を砕き、殻を剥き、みそを啜り。時折、ウェイターが空
いた皿を下げにやってきたが、それに目もくれず、蟹を、食べ ....
辺りは静かで仄暗い
細かな気泡としなやかな水草だけが
照明の光を蓄えて揺れ動く
水槽の中を泳ぐアロワナは
夏の夜行列車に似ている

いつまでも眠れず、読書も捗らなかった
車窓に触れたゆび ....
はなかざりを編んでみたかった
いまはただ、そう思う
ガラス箱のような草のうえで
僕は声を持たない子ども

冷たい妹の胸に耳を当てて
見上げた空には白い斑が散っている
だれか、あの青いガラ ....
弟が、壁に短い線を引いている。
それをくりかえしている。
何を書いているの、と訊ねる。
雨、と答える。
わたしは傘をさす。

テレビは激しい雨音。
大雨、洪水、注意報。
誰かが言った。 ....
夜中にそっと冷蔵庫を閉める
あたまのおくで
クリプトン球のあかりが消滅する
少しだけ、息がとまる

コーラ瓶の栓を抜く
ひとの内側は暗くて渇きやすい
炭酸のおとがきめ細やかに変容してゆく ....
草を踏む
表紙をひらく
頁をめくる

一行目に木洩れ日
天使が羽を
休めている

睫毛が落ちる
ふっ、と息を
ふきかける

濡れたたてがみ
あたたかい
蹄の音
まだ、息は ....
靴、ばかりを詰め込んだ、大きなキャリーバッグ。そこにひだりて
を置いて、まくら代わりに頬をのせる。ベンチに腰をかけながら、
指と、指のあいだを見つめている。鼻孔の奥に、巣食ったあくびを
殺せなか ....
プラットホームを歩いていたら
数歩先で人と人とが
すれ違いざまに接触した。
体と体の打ち合う音がして
ボタンがひとつ
床に落ち、私の足もとに転がった。
思わずそれを拾い上げ
視線を元の場 ....
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