すべてのおすすめ
花火は好きだ。
大きな音と、大きな光、も好きだけど、派手で空一面を覆う火の玉もすごいけど、おれは手持ち花火を燃やした後の煙が特別好きだ。暗闇の中でもはっきり見えるあのなごりの煙が好きだ。
大好きな ....
いつの間にか私はすっかり健康になり
霧雨が降る夏の日に
じっとりとした汗をかくようになりました
決して集めることのできない水滴を
体に吸い付けて
はじき出して
感官としての人差し指を
....
大きくはない講堂で
詩人の声がしている
詩人の声は講堂よりも小さく
低いところを這うように響くから言葉のつぶは分からない
絨毯だけが分かっている
水を吸い込む時のように、そこだけが深い赤 ....
名前を尋ねられたので
火葬場の薪とわたしは答えた
山の落ち窪んだ場所にある
コンクリートの壁のなかの
あの鉄扉
白手袋
手袋は二足歩行して
乾燥した骨を拾っている
くすんだ ....
教室に這う蛇たちはいっせいに白い壁をあがりつつましい蛍光灯になってしまう。すっかり硬くなった彼らが行儀よく整列し彩りのない熱を放っている
わたしたちは激しく動くシャープペンに肥えた腕を操られつつ柔ら ....