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地下へと続く階段の脇には
だらり、とぶら下がった黒いコンセント
に結ばれた、赤い糸

地下のさびれたライブハウスでは
音程の狂った歌手が
あの頃のみっともない僕みたいな
コッケイな恋の溢 ....
レコードジャケットの中で
ビルエヴァンスの黒い手が
握っている、白いボールの
{ルビ刳=く}り抜かれた内側に
真空のそらが、広がっている

もし、僕が大事なあなたに向けて
ボールを投げる ....
片方の手を取って
九十歳のきくさんと
介護の青年は
デイサービスの廊下を
ゆっくり、歩く。

きくさんは、皺の寄った右の拳で
くしゃくしゃなちり紙を
握り締めている。  

「それ ....
熱燗の、おちょこの横の
受け皿に
五匹のししゃもが銀の腹を並べ
口を開いて、反っている

いつか何処かで観たような
あれはピカソの絵だったろうか?
絶望を突き抜けてしまった人が
空を仰 ....
白隠禅師が、墨で描いた
手のひらの絵が
硝子ケースの外に立つ、僕に
語りかけた

(両手を打つと、音は鳴る
 片手で音は、どうすれば鳴る?)

姿の無い白隠禅師が問うので
硝子ケース ....
妻が一歳の周をつれて
立ち寄った鎌倉の教会に、入ると
お告げの鐘は、夕焼け空に響き渡り――
グレーのベールを被った修道女等は
晩の聖歌を歌い始める  

祭壇に姿を現したのは  
私達に ....
電気を節約するために
暖房のリモコンを
遠くに置いて
日がな布団に包まり
みの虫の姿で、本を読む。

外から帰り
しろい吐息をはく妻が
傍らに坐るので
火照った手を取り
少々疲れた ....
「軽くふれて下さい」という場所に
そっと手をあてると、自ずとドアは開いた。  

人の心も、軽くふれてみようと思う。  
无さんの服部 剛さんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
新宿の地下室にて__- 服部 剛自由詩1214-4-14
LIVING_TIME__- 服部 剛自由詩114-3-29
白いちり紙- 服部 剛自由詩1014-2-27
ししゃも- 服部 剛自由詩21*14-2-20
家族の手- 服部 剛自由詩414-2-1
神のいたずら- 服部 剛自由詩414-2-1
掌の花- 服部 剛自由詩6*14-1-16
自動ドア- 服部 剛自由詩14*14-1-16

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