すべてのおすすめ
古い蝉が、この部屋の
窓に貼付いて乾いている
色々なものが置かれていたが
結局ひとつもとどまらなかった
きょうの月は、頼み方しだいでは
ベランダに ....
{引用= /とけた猫
コバルト色の階段をとけた猫がつたっていく、春、うつむくこと
は似合わない、踊る石と、まだ眠りから覚めない風を抱いている、
きみには。
※
....
机に載っていた、何枚かの
便箋は すみれ色をしていた
グラスに注がれた玉蜀黍茶を空にするまで
夕焼けをわたしは眺めていた……飽きもせずに
複雑そうなものごとが、ほん ....
かなしい歌をつれて、
春風がきみの頬をさわるとき
ひとびとのささやきは町を彩り
光が、もの静かな雨のように靴に落ちる
白い花の影がひとつ、心のなかに揺れている
....
珊瑚礁がわらっている
夕方 潮風のかわりに
わたしは、
爪を剥がされた猫と 体毛の薄くなった猫とを
膝のうえに半分ずつ抱いて 雨を受けた、
あなた ....
滑らかな掌が 部屋の中で
私たちの内のどちらかをさがしている
(夜は こんなにも 明るいというのに)
捩じれた、青白い樹の 影が、こごえている
いつか 囁きに似た笑 ....
春、ひとすじの川が
豊かな緑に彩どられるころ
薄い衣をまとっていくといい
きみは女なのだから
岸のむこう側では
きれいなかたちをした石が
見 ....