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ぜんぶかなしい
みようによってはぜんぶがです

メーテルがねむる冥王星のしんとしずまった氷の平原にみんないる
そうしてひとつずつの青白い炎がぼおっと点って
それらはまじわらない

ひどく ....
竪琴がある。
竪琴とは複雑なあなたとわたしと、それから春の優しい鳥と。

風がある。
なぜ、風が惑星の{ルビ裳裾=もすそ}をかゆそうに笑いながら縦走するかは、誰にもわからない。

竪琴を納 ....
{引用=雨。
時々、蛙。

波状に、しきり
たゆみなく
それでいて、まろく
忘れてしまう。

よいものはみな
うっとりの
忘却の底。

じつに
屋根も素敵に育ち。

巻貝 ....
レベル5
滞在時間は30分以内
館内閲覧は禁止
貸出のみ可

図書館員をつかまえ
いつも知識をひけらかす
白髪の男の姿もない

紙の城はいつになく平和というわけだ

薄暗い森のよ ....
「にげる」

なにものからも逃げたものが
なに食わぬ顔でなにもしないでいる
すると
なにものをもにがしたものが現れて
なに食わぬ顔でいるものの所在を
不明瞭にしてしまう
なに食わぬ顔で ....
「流木は言った」

ここまで まるで散文のように 諸国をめぐり歩いてきたが 詩の路地裏には この靴は硬すぎた テクストなど 情感を回る素粒子に過ぎない 詩人は そっと何かを置くだろう それでいいん ....
遠い遠い場所
過去とも未来ともつかない時
銀のロケットは宇宙を渡った
ゆく先々には
驚くべき光景の数々があった
じつに多彩な星の世界が
めくるめくように展開していった
銀のロケットは
 ....
*

まず、赤いフタの大きなアルミ鍋に七分目まで水を入れ、中火と強火の間ぐらいの火加減で湯を沸かす。五分ほどすると、プツプツした細かい気泡が上昇し始め、水の表面が微かなプルプルに満たされるようにな ....
最悪の悪徳。それを寿げ。すました顔で平然と血で汚れた手を差出すのだ。供物のように身を横たえよ、恐ろしい龍や番犬の牙に偉大にも身を捧げるため。そのようにして、いくつもの滅んだ帝國は歴史の溝に清らかにも棄 .... あんまり良い詩を書いちゃ心配よ

ウミネのおかあさんは言う
ウミネは
無花果の好きな島の男の子だ
ウミネは
時々
ひとりでぶらぶらと
白い砂浜にやってきて
波の音が
ズザザザァー ....
葉っぱが
ひとり遊んでる
くるんと
まるく
じぶんをすてて
も一度
ハラり
わらって泣いて
あの日、ぼくは死期の近い人のそばにいた。基督教系のホスピスへ出入りし、ただその人の横に座っていた。モルヒネのせいで朦朧としたその人にとっての今は、50年前の初夏の昼下がりだった。そして、ホスピスは何十 .... たゆみない息吹に、おそれの、手のひらを翳せば、ひくひくと、なみうつ水晶の静脈。つづいて、間もなく、青が、光の葬送を連れてやってくる。はいだして来たばかりの、空の、欠片を綴りあわせ、ふたたび、まっさらの .... {引用=じっと殻に背を丸め
春を待つ{ルビ蛹=さなぎ}のように森は
いまだ
あわい{ルビ揺曳=ようえい}の入江

冬木立のはざま
小橋のそでに
ゆたかな寝がえりをうつ
にがい{ルビ蕗= ....
「象の墓場」

大地が肉あるものを{ルビ篩=ふるい}にかけてしまわないのは、それはやはり大地の優しさからではない。惑星の{ルビ核部=コア}に必ず一個はある象の墓場のお蔭なのである。琥珀に浮かぶを殊 ....
まるで上のが落ちて来そう、
星も一緒にです。
それを{ルビ享=う}けるのは、
{ルビ蟋蟀=こおろぎ}のしょっかくに触れる惑星大のくさ。

いちめんの{ルビ叢=くさむら}は、
イカ釣り漁船の ....
{引用=位相}

90°進むと生まれいずる者の虹
90°遅れると死に去る者のハリケーン


{引用=ガイア理論}

アンコールワットのほとりで佇む老爺


{引用=土間の麒麟}
 ....
手のひらの丘を
橇に乗ったヒグマが滑って行く

なんとなく
ユング派にかかりたいと思う

未来の博物館では
ヒトの剥製が祀られるだろう

良い詩をたくさん知っている
ぼくは不眠症だ ....
「少女」


珈琲カップはひびが入ってるし
Tシャツだって毛羽立ち過ぎ
お肌はまいにち荒れ放題いやだいやだ
だからこころも
しばしばささくれ立つの
このあいだなんて
万年筆のインク切 ....
{引用=冬。
暦には雪の結晶、六角形の季節。
生まれくる雲には水色の涙袋。かなしい。

常緑のもの、それだけが空にたくましい。
石炭紀の繁茂の俤、梢にチラつく褶曲地層のまぼろし。

空気 ....
ひたすら壁にむかって投げ続けた
ひとりだった
みんな学校へ行っていた
じぶんのふるさとをこうして
時々
思い出す事がある

電車が通ると夏草がゆれた

およそ色んなものが
おもえば ....
もののあはれとはそれは
風の包帯
先だつ批判をやわらにつつみ
まるで
{ルビ苫屋=とまや}に吸われるもんしろ蝶
ひなたの蜥蜴
春の
ことぶれとも
喉までせりつめてくる
ものをいなし
喪われた月で首飾りをつくる

詩篇の鉄道は砂礫ですっかり
いっぱいだ

降り掛かる酵母のようであろう
それはやさしげなシダ胞子

副詞に錠をおろ ....
空から釘が降って来ます
かなしい月夜の破片のように

眼のない森に歯形を付けて
ひとり眠りにつくとしよう
{引用=「プロローグ」



 これからここに記すそれぞれに違ったかたち(そして切れ切れの)でのエピソードは、俺が或る月のない晩、夜気に頬を冷まそうと戸外に出た折に、まったく偶発的に何処か ....
 耳朶の下に隠れていた子鬼がふいに現れPCをシャットダウンさせてしまう。ふり向くと堆く積まれた原稿用紙がある。どこからか蝿が飛んできて、用紙のマスの中に不器用に死んでいく。促されるようにCDの記録層に .... 「墓石」

それはいつからかはじまり気が付くと終わる
そのようなものをさがしたら
じつにそのようなものしか無く
それはすべての核部へ到り
かつぬけてゆく風やうたであった
なので却って太陽 ....
とおく、とほうもなく、微笑して、口をわらない何かがあって。カーテン留めを はずす事にさえ、充分満足できる何かがあって。そういうものをずっとさがしてきた気がする。そしてずっと見つからなかった気がする。
 ....
「炎の惑星」

炎暑で痙攣する夏空の真ん中
涼風吹き込む洞窟に
途方もなくでっかい入道雲が
安置されている
SはNのプラグマティックな個室で
SF小説を嘗めたりして
可愛い旧式のロケッ ....
{引用=「はじまりの小詩」

 
洗面所の
鏡の前に立って
歯みがきをしていると
朝の光が
横顔を洗った
ふり向くと
トイレのドアが笑った

このとき
ぼくの何かは
まだ眠っ ....
宣井龍人さんの道草次郎さんおすすめリスト(38)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
メーテルがねむる冥王星のしんとしずまった氷の平原に- 道草次郎自由詩221-6-16
ネノラク- 道草次郎自由詩321-4-24
春雨は途切れることなく葉から葉へ- 道草次郎自由詩9*21-4-17
県立図書館は水を打ったように静まり返り- 道草次郎自由詩621-4-9
未詩集1- 道草次郎自由詩8*21-4-3
流木は言った、他- 道草次郎自由詩221-3-25
銀のロケット- 道草次郎自由詩8*21-3-23
スパゲティのための試論- 道草次郎自由詩6*21-3-18
叛逆- 道草次郎自由詩5*21-3-16
ウミネ- 道草次郎自由詩3*21-3-15
葉っぱ- 道草次郎自由詩6*21-3-14
夕焼けの記憶- 道草次郎散文(批評 ...5*21-3-11
春のハレーション- 道草次郎自由詩5*21-3-10
啓蟄と芽ふき- 道草次郎自由詩6*21-3-8
三つの墓について- 道草次郎自由詩4*21-3-7
幻想平原- 道草次郎自由詩3*21-3-5
スケッチ1- 道草次郎自由詩3*21-3-2
インソムニア- 道草次郎自由詩6*21-3-1
五人五色- 道草次郎自由詩4*21-2-13
プレアデス星団- 道草次郎自由詩4*21-2-12
ボール投げ- 道草次郎自由詩10*21-2-11
ことぶれ- 道草次郎自由詩11*21-2-9
包帯星団- 道草次郎自由詩3*21-2-7
釘降りの夜- 道草次郎自由詩8*21-1-31
隕石のながい尻尾- 道草次郎自由詩3*21-1-27
残響- 道草次郎自由詩4*21-1-18
夜の夢の分裂、他三編- 道草次郎自由詩6*21-1-15
疾走する砂礫へ- 道草次郎自由詩4*21-1-11
五惑星物語- 道草次郎自由詩321-1-9
音楽へのオマージュ(補遺)- 道草次郎自由詩2*21-1-5

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