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カタカタと軋んだ音をたてて 五線譜の上に
吐き出されていくのは あの夏のことでした
紙杓子で掬ったあかい金魚を手放したのは僕
とっぷりと暮れた空にあめが降りつづいている
何処かに傘を忘 ....
暮れそうで暮れない夜を抱えて
西の空は橙色の熱さを振り絞る
雲はたそがれいろに染まらずに
うっすらとはい色のヴェールで
どこかに逃れるのを阻んでいる
境界線を緩め昼と変わ ....
摩天楼の輝きは南極の煌めきに似て
梅雨空が霧雨のようなブリザードを呼び込む
クールビズなどどこ吹く風で皇帝ペンギンが
大挙して目の前を通り過ぎていく
陽炎が眩暈を連れてくると
....
摩天楼に乱反射する西日
お堀のみなもを揺らす
ビイドロの巨大なレゴの間に見える空
暮れなずむその時
夕焼け雲が小さな感傷のベルを押す
あの子の泣きべそ顔のほっぺは茜雲
見送り駅 ....
水無月の海にあじさい色の傘の花
哀しみの膜に包まれていく予感
この哀しみの粒も海に飲み干され
輪廻する永遠の中に浮遊するようで
ゆ
ら
ゆ
ら
ゆ
....
今にも泣き出しそうな空
鬱屈する憶いまで塗り込めていく
しらちゃけた大地に空が投げキスのダイブ
待ち詫びた花弁にもジャンプ
透明な繭になって落ちてくる
ぽたぽたと追憶を綴る
忍び込む甘 ....