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ぼくが石になった夜、
その娘は音もなく泣いていた。
「泣かないで」なんて
言えるわけもない
ぼくは石だった。
真っ赤な真っ赤な彼岸花、
どうか泣かないでおくれ
....
あなたの姿が網膜に結像するまえに
スペースキーを押して
戻って
あなたに出会うまえに
....
{ルビ斬る=アン}/{ルビ叩く=ドゥ}/{ルビ潰す=トロワ}
ベートーベンのリズムで剣は
標的「甲」を なます切り
凪いだ湖面に反射する光
われが、われだけが
爪弾く小夜 ....
(無音)
ずっとずっと少女は旗を振っている。
なにを言わんとするのか
なにを伝えんとするのか
一切、わからないが
その表情は切実で、真剣そのもので
真っ黒い旗を必死 ....
干からびた海に浮かべた船でわたしは舵輪を取る
祈りの形に凍りついた手
そんな人々を見送りながら
抜錨
伝声管から
機関よろし
声がかかる
土煙を上げる
....
言葉は 発したそばから嘘になる。
書物は、書かれたそばから嘘になる。
歴史は、記したそれすら嘘である。
嘘は……信じたその人が嘘になる。
現在は、一瞬後には過去になる。
描かれたもの ....
すべてが終わる
すべてが始まる
いま ここで
青い雨が降る
天使よ、どうか羽を濡らさないで
止まり木なら用意してあるから
ポプラの木の下で ありとあらゆる銀星の下で ....
あしたプラチナが降ったなら
あたし独りで大金持ち
死をついばむカラスのように
詩をむさぼるガラスの仮面
そうよ、今夜は仮面舞踏会