すべてのおすすめ
地上で使った資料の多くを海の藻屑にする
書斎は浅い海の底
侵食された岩の本棚に
小さな貝が貼りつく
整理された書斎には
イソギンチャクや
蛸や珊瑚が棲みつく
海面 ....
たくさんの呼び名を持つ人がいる
あなた
あいつ
あのやろう
あの人
旦那
主人
名前で呼びたくなる時のあなたは
やさしい顔をしている
名前で呼ばれる時の私も
たぶんやさしい顔をして ....
不幸の似合う女優さんって
近頃みかけないよね
それだけおんなが幸せになった訳ではなさそうだけど
ひたすら運命と向き合う生き方って
求められていないのかな
※
冬の日差し ....
猫には猫の言葉があり
犬には犬の言葉があり
鳥には鳥の
虫には虫の
花には花の
水には水の
苔には苔の
風には風の言葉があって
会話しているのだろう
地球と月も会話しているのだろ ....
今夜こうして詩を書くけれど
世界中にある様々な不条理や
悲しみや痛みを知らない訳ではない
この国を覆う様々な矛盾も
今こうしている時にどれだけ多くの人が
不安に慄いているかも
ただ今夜 ....
僕はジミヘンドリックスになりたかった
ギターがまるでおもちゃみたいにね生きるの
きみにあえないときもギターを弾いている
シェリルクロウのように歌えてエルトンジョンのよ ....
この箱庭を平和な場所にいたしましょう
雪の下には
クロッカスの球根を植えて
春がくるのを待ちましょう
小川を作り 犯した罪を流してしまいましょう
この箱庭を王国にいたしましょう
くさむ ....
地に落ちた雪
うずくまり
たちどまり
つまずきながら
あるき
あせり
あわてて
かけだして
ころびまろびつ
つかれて
ねむる
空に昇るは夢
イマドキの女子にとって
バレンタインデーは
好きな男子にチョコレートを渡して
愛を告白する日では
もはやないようである
友チョコといって
親しい女子同士で
チョコレートを贈り合う日で ....
ぼくはかつて猫を飼っていた
あるいは飼われていたのかもしれないのだが
いつも隅っこの居場所で僕をみている
そんな猫さ
何も言わないけれど何もも求めないけれど問いかけてくるの ....
変化をおそれるな
適者生存なんだから
幸せになろうと思うな
思えば今が
不幸せってことになるから
ぼくらの経験なんて
誰かが既にしていることなんだ
哀しい ....
夜に心があったなら
きっと淋しい心でしょう
闇夜になるのが
淋しくて
誰かを想わずにはいられない
星に心があったなら
きっと淋しい心でしょう
たったひとりで
何億光年旅をして
誰 ....
いつも あるのは
ない 何も
信じている それを
何もないということだけ
そこに
朝のまどろみの中 鳴り響く携帯の着メロ
あなたからの モーニングメールだ
仕事で疲れて 起きられないわたしのために
毎朝メールで起こしてくれる 優しいあなた
色 ....
あなたは
黒いショールの隙間から
少しだけ
見せてくれた
嘘も真もなく
構えもせず
力を抜いて
雲間の月のように
鉄筆で深く
刻まれた詩
人生の一片一片
散りゆく時を知り ....
君のカタチを
いつまでも覚えている
私の躯は
過去と現実
半分づつで出来上がった金属
明日の蹄で
ノックすれば
カーンカーンと
音 響かせる
錆びてしまえば
捨てられるのに ....
ぼくたちのチューブウェイは幻想の未来をつらぬく迷路なのだね
ぼくのすべての細胞が未来を志向しているわけではないのだよ
多くは懐古趣味でとてもノスタルジック
彼女はじぶんのいたみを ....
凍るかぜのなかでこの半島はぼくのなまえを呼んでいる
いとしいひびきでね
ぼくは北の国からやってきたまあほんとはプランクトンしかたべれないのだけれど
ことばの魚を追ってきたのだよ
....
私が
こうして
文字を綴るのは
この
鉛筆の芯がなくなるまでのこと
あれ
もう芯がないや、と
気づいてしまうその時を
想像すると
やはり切なくなくなるけれど
きっとその朝は
....
猛々しい
雲の峰々をぬってながれるその川に見覚えがあった
なぜか
その子に見覚えがあった
林の奥の僻地の村へは行ったことないのに
そのおさない者の笑顔に
....
チャイ屋の少年ラムクマールは指先で
その裸の指先で
皿やカップの料理を食べる
コツをかれに教えてくれた
ふるくからの言い伝えだと話してくれた
....
ロングジョンシルバー船長は引退したらただの爺さんになっちまう
フェアリーテールはティンカーベルの魔法でいきのびるのだね
世界はウオール街ではなりたたないのだよ
ぼくたちは不思議の ....
子供の頃
古めかしい三面鏡が
部屋の隅にありました
木目模様の板に貼られた
三枚の鏡はそれぞれに
蝶番によってつながっていて可動式でした
普段は折りたたまれているのだけれど
ぱた ....
ぽっかりあいた
空洞は
ただ ひたすらに
まっている
「おかえりなさい」と
言う時を
夜の孤独は
しんしんと冷え
柱時計が時を刻む
ぽっかりあいた
スリッパの
空洞の ....
なんのために
歩くのか
それが死への行進であっても
もはや
退くこともできず
ただ祖國の土を踏むことだけを
夢見て
凍土を踏みしめて行く
泣く力はとうになく
乳さえ吸う力もない
赤 ....
ひさしぶりの渋谷文化村通りを歩く
フェルメールに会いに行くのだ
ハチ公前で待ち合わせて雑踏に紛れる
風は冷たくて肌に突き刺さる
沢山の愛や希望が行き交う街で怪しいふたりは浮いて ....
あの子は
人間樹木になって
森へ還っていきました
さあ
嘆き悲しむのは
もう止めにしましょう
春には
芳しき白い花を咲かせ
やわやかな緑の新芽を指先に這わせ
虫や蝶を友とし
秋 ....
今朝も
様々な具材を乗せて
すし詰め電車が
発車していきます
季節は冬ゆえ
暗い彩りになることは
ご容赦いただきます
味は
休日明けゆえ保証します
たらふくご馳走を腹に溜め込 ....
やはり
マグロは天然ものにかぎるなあ
などと
食通を気取る人が言う
今時は
くるくる廻る寿司屋にも
天然ものが
マシーンで握られた
しゃりの上に鎮座している
人間こそ
全て ....
あの日以来
飛ぶことが怖かった
離してくれないと
地上のせいに僕等はしていた
黄昏てばかりの僕等を
ずっと見つめていた夕陽が
かわりに沈んで
会うたびに膝を突き合わせて
会うた ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61