すべてのおすすめ
うちのベランダに
よさげな苔が生えている
コンクリートのひびから
もこもここと
ふさりふさりと
緑色からエメラルドグリーンへ
鈍く光っていき
それはなんだかシ ....
同じ格好した仏像さんが二、三十
指の腹で撫でながら
ひょいっとひとつ持ち上げたら
あぁこのおもさがちょうどよい
ひんやりどくどく
てのひらの中から身体の中へ
巡る巡 ....
たいふううぅ
傘がくるくる空に消える
わくわく甘い匂いがしてくるよ
たいふううぅ
子供たちが笑っている
大人たちもはにかんでいる
たいふううぅ
あぁびしょ濡れ ....
夕暮れ
石ころが転がる河原で
ひとりのんびりビールと
割り箸に刺したはんぺんを
七輪でささっとあぶり
ちゅるちゅる呑みこんでいると
対岸にオレンジ
鬼火が屋台の提灯のように
等 ....
段差段差
すらりと綺麗な人が
高いヒールでぐにゃりとごろりところげた
うしろを歩く私へ
勢いよくかかとが飛んできた
私はちょうど
小ぶりで可愛らしい
さんかく ....
ほどけた言葉が
にゃにゅにょ
へへと笑う
もにゅめんとがころがる
不必要も大事ふらふーぷ
にゃにゅにょ
くくと笑う
とーてむぽーるがのびてゆく
わからな ....
今日は何か落ち着かない
そわそわ
そわそわ
空から漫画のコマが落ちてくるように
ぺらぺら
かくかく
現実感のない風景が広がっていき
何もかもが軽くて壊れてしま ....
仕事が終わり
家に帰り
靴下を脱いで
床にほっぽらかし
気持ちよい素足でスタスタ歩いていくと
うしろで靴下タチむくっと起きあがり
ひょいひょいついてきて
プロ ....
そっと風が吹けば
散り散りにこころは飛翔し
うらおもて
うらおもて
ひるがえり
夕暮れ空の向こうで
群れをつくり
大きなさかなが一匹
空をゆっくり泳いで ....
偶然のすれちがい
微笑み挨拶するけれど
何かを伝えたくて
何も伝えられなくて
優しい風が吹くだけで
明日の気配に
ふわりと衣が
背筋を撫でる
空っぽの缶空をふると
からから
空が揺れる
空っぽの私が頭をふると
からから
空が揺れる
なにかしら
からから
空が揺れて
不意に音が止んだ
たくさんのバナナ一キロ
ふさふさのバナナ一キロ
食べても食べても減らない
いや増えているような気がする
もうちょうど食べごろで
蜜のような味がする
強烈な南国の香り ....
空に向かって高く
超合金製の蟻の巣が
渦巻き状に伸びている
無機質でのっぺらぼうの蟻の巣も
夜になれば
綺麗に画一化された部屋には
優しい灯りが点り
街を照ら ....
コンビニを出ると
誰かがお菓子の箱を開けて
ぽいっと捨てたセロファンが
ちょうど私の目の前に
空から垂直に錐もみしながら落ちてきた
ひとときのま
私の頭はどうにかな ....
ひっそりと
こっそりと
足を並べて立っている
大きくて哀しいこと
小さくて嬉しいこと
ひっそりと
こっそりと
歩いてみれば
誰も彼も何かに夢中で
....
お爺さんが訪ねてきた
孫に会いに私を訪ねてきた
しかしお爺ちゃんっ子だった
私の祖父はもうだいぶ前に死んでいる
今自分がどこに住んでいるかも伝えないなんて
随分ひどい話だなぁと
当 ....
とりとめもない映像を眺めながら
皮を剥き縦に切った細長い人参を
齧る
何もつけずに齧る
美味しいかと尋ねられれば
ちょっと柿みたいで美味しいかなと言う
実際は齧る行為に動物的な快感 ....
少し遠くにいるあなたへ言葉を投げかける
言葉はメロディのように滑らかに
空中を軽やかにステップするでなく
少し自信なさげに
ひらがなは途中でぽろりぽろりと落ちていき
漢字 ....
音もなく流れる疎水路に
しだれる桜
雨が降り風が吹き
もう間もなく散っていく
音もなく流れる桜の花びら
ゆっくりゆっくり流れてゆくから
一枚一枚数えながら
スローモーションの ....
彼はハトムネを二羽飼っています
以前彼はハトの形をした
クッキーを作る工場で働いていました
或る日彼は眠くてたまらずたまらず
たくさんのハトの形をしたクッキーが流れる
ベルトコンベアーに ....
百円で買った文庫本
アメリカのとある古い短編小説
マウンテンパーカーの前ポケに
ちょうどだからと出かけるときに文庫本
雨がぱらぱら
結局ざぁざぁ
一日降って傘をさし ....
いかにも楽しそうに
エプロンをつけた
ふくよかなお母さんたちが
トランポリンで器用に
跳ねて宙返り
錐もみで
所狭しと回転している
その宙には
くるくる生地がまわりまわり
具材が ....
プリンが逃げた
スプーンですくった勢いを利用して
逃げた逃げて
とっさに細胞分裂繰り返し
増えた増えて
もとのかたちに戻って
勢いよく
はねてはねて
と ....
お稲荷さんを歩いてたら
耳の千切れた猫が一匹
やぁやぁ久しぶりおやつをちょうだいなと
お前と会うのは初めてなんだがなぁと
仕方がないからリュックを下に降ろして
開けようとする ....
綺麗なきみどりいろした
耳たぶは
そらまめだった
ある日
ひょっこり芽が出てきて
日が経つにつれ
どんどん伸びて
耳の奥へ
耳の奥へ
ずうっと伸びていって
まわりの音が ....
お風呂の電球が切れたので
薄暗い中お風呂に入る
いつもより念入りに
身体を洗い
身体を流す
匂いが鮮明だ
シャボンの匂いをくんくんする
お湯に浸かりまるまると
どこか遠くの知ら ....
もみあげの
はしっこをつまんで
ちょりちょりならす
くしょんと晴れる
寒いんだか暖かいんだか
どっちなんだか
そろそろひょっこり
蕾がふっくら
はにかみはにかみ
耳たぶを ....
三角フラスコで
コポコポ
何度も抽出した液を
スポイトで一滴
ポトリと額に垂らしたら
私はぬるりと溶け出して
ぐるぐる機械から絞り出され
滑らかなソフトクリームに
生まれ変わってい ....
夜の光は優しくて
まっくろな闇も四角ばった建物も
あれホットチョコレートみたいに
トロミを帯びてゆっくり流れているなと
暖かい気持ちがする寒い冬の舗道
何故だろうか歩く地 ....
くるくるまわして
蘭土紗羅 蘭土紗羅
見つけて彗星
奏でる星屑
蘭土紗羅 蘭土紗羅
儚い幻 うつらと呆けて
異人が唄う 香りが誘う
くるくるまわして
蘭 ....
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