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一輪の花がゆっくりと、蕾を開く、宵の夢 
創造のわざは、私のなかに働く

私を支える茎は背骨、密かな光合成をとめず
今日もわずかに、背丈を伸ばそうとしている

たとえまだ、日の目を ....
女のお尻は男よりも丸い
僕に耐えられぬ、痛みをも知るひとよ
あのなかにはもしや
青い小さな惑星が回っているやもしれぬ
旅先の温泉の
露天風呂から上がり
室内の入口で
横を向くと
だだっ広い温泉プールがあった


どぼん、と入り
ぴょんと跳ねれば、ふわり
もうひとつ跳ねれば、またふわり
さらに跳ねれ ....
この街に
人はたくさんいるのに
なぜ、ふいに
ぽつんと独りいるのだろう

読者よ 友よ
この紙の向こう側にいるきみよ
わたしの音の無い声は
その耳に届くだろうか?

願わくば
今 ....
真夏の{ルビ陽炎=かげろう}揺れる
アスファルトの、先に
琥珀に輝く円い岩が
ひとつ、置かれている。

額の汗を拭って、歩く
旅人の姿は段々…近づき
数歩前で、立ち止まる。  ....
テレビの台に、よじ登り
画面の前で「おかあさんといっしょ」を
見ていた3才の周が

  ぴょ―――ん

次の瞬間、ケガの防止に備え
台の下にずらしておいた、ソファが
後ろに飛んだちっこ ....
夢追い人よ
与えられた今日の日を
踏み台にして
空に向かって、翔べばいい  
出先の喫茶店で「童心」がお題の
コラムを書いてから、自宅のママに電話した。

――じゃあ、読むよ。
――今、周に聞かせるからちょっと待って。

ママが携帯電話の音量をあげてから
できたて ....
どっちでもいいさ――右に転ぼうと、左に転
ぼうと、あの娘にフラれようと、はたまた結
ばれようと――全ては運命の掌がふったサイ
コロの数に過ぎないのだから

右にゃあ右の風が吹き…左にゃあ左の ....
染色体の一本多い、3才の周が
初めて言葉を発した
「それ…」
僕は身を乗り出して、聴き直す
「え、なに?」

目が覚めた――(なんだ、夢か…)
布団からひょっこり顔を出して
周はまだ、 ....
君はちょっと人より黒目が、大きいね
君はちょっと人より睫毛が、長いよね

今夜も、薄ら目を開いて眠り
夢見る二才の君は
人より染色体が一本多くて
まだ喋らないし、歩かない

ちょっと風 ....
今はもう(夢の時間)になった、十代の頃。  
ほんとうの道を、求めていた。  
敷かれたレールを、嫌がった。  

思えばずいぶん、{ルビ躓=つまづ}いた。  
人並に苦汁を飲み、辛酸も舐め ....
(いきよう、いきよう、いきよう)と――  
この体中に張り巡らされた、血の管を  
絶え間なくも流れゆく  
命の声は何処へ往く? 

昨日?  
今日?  
明日?  
いや、今だ― ....
黒光りのレコード盤が  
プラスティックケースの中で  
いつまでも、廻ってる  

ゆーるりるりるーゆーるりるー…  

傍らに立てかけられた  
紙のブルージャケットの  
ソニー ....
川の畔の土手に腰掛け  
考える人、のポーズを取る私を  
周囲で風に揺られる{ルビ秋桜=コスモス}の花も  
飼主に引かれ、小道を従いてゆく犬も  
みんな秋の琥珀の黄昏に包まれて    
 ....
闇に揺らめく蝋燭の火をじっとみつめて  
僕は問う  
――どうすれば夢は叶う?  

ふいに背後を行き過ぎる謎の影は  
声無き声で囁いた  
――その階段を一つずつ上るのみさ  

 ....
無数の髪は今日も伸び 
目は開き 
耳は聞き 
鼻は吸い 
口は吐く 
首は支え 
手は掴み 
左の胸は一生涯とくり、とくり、と脈を打ち 
腹は昼頃、鳴るだろう 
そしてお尻はもよお ....
生後数ヶ月で両目を摘出してから 
声と言葉を発しなくなった彼女は 
木の世界の土壌に根を下ろし 
大人になってゆきました 

ある日、遠くから来た旅人は 
人に話せぬ深い悩みを打ち明け 
 ....
針を手にした(無心の手)は 
今日も、布地を進みゆく 

長い間歩いて来た 
あなたと僕の足跡は、あの日  
{ルビ布巾=ふきん}の遠い両端から始まり 
それぞれに縫われる糸のように 
 ....
{ルビ深閑=しんかん}とした井戸の底で 
今夜も私は、{ルビ蹲=うずくま}る。  

遥か頭上の丸い出口の雨空に 
嵐はごうごう、吹き荒れて 
木の葉がはらはら、鳴っている 

遥か ....
――再び発つ、と書いて「再発」という―― 

    * 

「人間はふたたび起きあがるようにできているのさ」 
いつも眼帯をしてる{ルビ達磨=だるま}診療所のヤブ医者は 
片っぽうの目で ....
渋谷の公衆便所に入ったら 
「ほらおとっつぁん、チャックを閉めて」と 
初老の息子は傾く体の親父を支えて、言った。 

なんとか息子に支えられ 
よたつく親父の背中には 
(いたる)と3文 ....
うっとりと瞳を閉じて 
光の石を両手に乗せて 
立っている円空さん   

静かないのちの歓びが 
体の隅々まで葉脈を巡らせ  
行き渡っているようです 

森に佇む木の体  
日向 ....
伊東の老舗・東海館で 
和室の窓外に、ゆらめく川の{ルビ水面=みなも}を 
一羽の白鷺が横切った 

一枚の枯葉が今 
枝先を離れ、ゆらめく川の水面へ 
身を{ルビ翻=ひるがえ}し宙を舞う ....
今日という一日に数え切れない
(ありがとう)が、隠れている。  

よく晴れた日の夜空に 
いつのまにか姿を現す 
あの星々のように―― 
無精者ゆえに 
手の爪は時折切っても 
足の爪はしばらくほったらかしで 
気づくとひと月過ぎていた  

風呂あがりの軟い爪を 
ぱち、ぱち、と 
広げた新聞紙に、落とす。 
(これを ....
みつめれば、みつめるほど 
世界は語る本となり 
行間の道で草花の囁く秘密は 
旅人の背に、託される 
塩を振られたなめくじは 
縮みあがった僕なのです 

縮みあがった僕だけど 
今は一児の父なのです 

一児の父であるならば 
縮みあがった、この体 

自分らしくのそぉりと 
濡 ....
今迄の僕は 
どれほど多くのまなざしに
みつめられてきただろう   
どれほど多くの手に 
支えられてきただろう 

今、僕は、ようやく 
幹の内側からいのちの歓びを{ルビ呻=うめ}くよ ....
江戸の町を外れた木々の緑の林道を 
刀一本脇に差し 
首輪を繋いだ愛犬つれて 
{ルビ悠々=ゆうゆう}と風を切り 
西郷どんは、ずんずん歩み往く 

勝海舟の願いを聞いて 
江戸の戦火を ....
石田とわさんの服部 剛さんおすすめリスト(43)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 服部 剛自由詩921-12-2
ある夜のメルヘン- 服部 剛自由詩721-9-3
温泉プール- 服部 剛自由詩421-7-22
- 服部 剛自由詩521-7-12
夏の夢- 服部 剛自由詩815-7-16
父の祈り___- 服部 剛自由詩515-3-13
無題- 服部 剛自由詩315-2-13
息子の教育- 服部 剛自由詩14*15-2-11
鳥の唄- 服部 剛自由詩515-1-14
朝の日記- 服部 剛自由詩12*14-11-9
夢の木- 服部 剛自由詩414-8-4
無人駅にて__- 服部 剛自由詩11*13-11-6
Stage__- 服部 剛自由詩1013-10-22
ちぐさにて__- 服部 剛自由詩11*13-10-21
はじまりの日- 服部 剛自由詩1213-10-8
夢の階段__- 服部 剛自由詩1013-9-22
神殿__- 服部 剛自由詩713-8-2
木のひと_- 服部 剛自由詩1013-7-23
縁の糸_- 服部 剛自由詩10*13-5-6
井戸の底にて_- 服部 剛自由詩6*13-4-16
達磨診療所_- 服部 剛自由詩8*13-4-4
渋谷の公衆便所にて_- 服部 剛自由詩613-3-22
光の石_- 服部 剛自由詩513-3-17
百年の夢_- 服部 剛自由詩413-3-13
ありがとうの星_- 服部 剛自由詩813-3-8
休日の過ごし方_- 服部 剛自由詩4*13-3-3
旅人の本_- 服部 剛自由詩6*13-2-20
なめくじ親父_- 服部 剛自由詩14+*13-2-19
いのちの歓び_- 服部 剛自由詩8*13-1-21
西郷どんは今日も往く_- 服部 剛自由詩6*13-1-17

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