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  わたしは座る
  青空がゆれている
  かなしいという言葉がなぜか
  小さな虫みたいに空気をうめていく


  なつかしい歌を思いだして
  気持ちだけが静かになっていく
 ....
  なめくじは あなたの頸に似ていた
  固い紙袋から ぶどうパンをかじって
  わたしは こっそり あなたの頸をみつめた
  どこにも ふってはいない 雨の音
  どこにも たどり着 ....
  赤銅色の振り子の
  陰にかくれ 笹船をほどいた
  幼い女児の はにかんだかなしみ
  そのときも わたしはうずくまっていた
  わたしは なにかをかぞえていた
  夕焼けのう ....
  あおい瓶が 枯葉の水を噛んで
  斜めにさしていく光が さがしている
  あなたの瞳は 樅木の陰にいて
  微笑っている 葡萄のように
  ああ もっと遠くへいきたかった わたした ....
  わたしたちは煉瓦をみつめていた
  通りの人がみな風邪のようなものをひき
  草色の貌をして 汗をかいているとき
  わたしたちは煉瓦をみつめた
  話をしながら
  煙草をすい ....
  うつくしさだけを愛するわけにいかず
  わたしたちは雪をみている
  さくらいろの子供たちがはしり、
  ほほえみと陽の光がまじりあうのを
  胸にふるえを覚えながら わたしたちは ....
  明るい部屋に棲む薄暗い老女
  出来損ないの散文に似た服をきて
  皺のよったビニールじみた手には
  何が為拾ったか判らぬ小石を力なく握る
  愛してきた者たちの瞳にもう愛はなく ....
  こんな寒い冬の日には
  錆びかけた薬缶に水をいれて
  ストーブのうえに置いておこう



  けさ、空気はするどく冷たく尖っていた
  鳥の声はぴんと張られた針金のようだ ....
  冷蔵庫の中で
  鶏卵の形状はときに難解だ
  それは石油や民主主義やマックブックが難解であるのと
  何ら遜色ない次元での難解さ



  女は夜、井戸で桶に水を汲み
  ....
  向かいの家の窓から
  女が身を乗り出して下を見ている
  左手になにか小さいものを持っている
  それがなにかまでは見えない ここからは



  コンセントに埃が溜ってい ....
  午後六時十五分頃の
  日に焼けた街のことをきみは歌いたかった
  八月……
  その燻すんだ終わりにむけて
  けれどもきみの細い首で
  ネックレスが曲がっている
  飴色 ....
   かなしさは夜のなかにある。



   体育の時間、ぼくはだれともペアをつくれ
  ずに、みんなが踊るフォークダンスを眺めて
  いた。それは濁った河を渡る水牛を眺めるの
 ....
  秋のはじまりの朝は
  意地悪なひとのようにつめたい
  鈴むしがどこかで鳴いてます



  ぼくはきょうも
  きみのことがすきで
  気持ちはかたちをくるくる変えます ....
  あちこちで物音がして
  生まれたり死んだりしている
  洗ったばかりの白いシャツ
  でも、なんだか袖を通す気になれず



  日曜日はいやなことから目をそらす
  べ ....
{引用=――押見修造「惡の華」に}

  くらい月が
  きみの瞳にとざされている
  歯には海苔がついている



  雨をうけた自転車の
  車輪からはいやな匂いがする
  町 ....
  マフィンはいらないよ
  くたびれた風のように
  もうここを出ていくから



  皺のとれぬシャツのために
  ハーモニカを吹いてくれよ
  冷めたコーヒーをすするよう ....
  すてきな溝があったので
  かたほうの耳をそこにあずける



  夏草は風にこすれ
  虫たちが{ルビ清=さや}かな羽音をたてる
  日の光のなかですべては
  ひとしく ....
  道ぞいの用水路に
  浮かぶ月影のうえ、
  きみの冷えた笑いがはじける
  おざなりな微熱もいま
  ぼくの胸から消えてうせる
  おわかれだね
  おわかれだ
  まるで ....
  砂漠
  あなたの両の胸から
  月あかりの残り香



  ねえ、
  アスファルトに臥した
  さびしがりの虎もわらうよ
  口のはじにちいさな
  白い兎をくわえ ....
  筏を組み上げて
  稲穂の海へと浮かべる
  あなたの両眼にはいつも
  息をのむほど静かな炎が灯っている
  風が吹いて黄金の波が揺れる
  考えていたことを忘れてしまう
  ....
{引用=――はるな「物語たち」に寄せて}


  つめたい夜がやってきて
  わたしの両手の爪を、一枚いちまい
  丁寧にはいでいった



  つめたい夜がやってきて
  物語の ....
  吉祥寺駅の
  ロータリーでしゃがんで
  靴ひもをむすぶ
  あちこちに捨てられた
  煙草はどれもしめっていて
  茶色い葉がとびだしてしまっている



  きみと ....
  長靴の似あう男になるよ
  そこらに散らばる水たまり
  しょぼいスキップで駆けぬけてくよ



  きみが
  うまく涙を落とせない日は
  かたほうの手をギュッと握るよ ....
  めぇいっぱいのかなしみを
  ちいさなかばんにつめてたら
  ほころびからおちていった
  あたりまえだ
  ふゆのあおぞら
  ふゆのあおぞら
  かぜがふいた
  ほころ ....
  居酒屋にはいると男は
  コートを椅子の背にかけ
  焼酎と焼いた秋刀魚を頼む
  それからラークに火をつけて
  深く吸い、
  重く吐き出す
  カウンターに載せられたテレ ....
  煙草屋のわきに
  ポストがたっている
  阿呆みたいに



  屋根をつたって
  落ちてくる雨だれをうけ
  それは錆びてしまっていて
  もう誰も近づいたりしない ....
  きみはぼくに
  ただ一言の問いかけをした



  夏、
  夕暮れのきつい光が
  少しだけ漏れる部屋で
  きみはぼくに問いかけをした
  どんな手がかりも
   ....
  何冊かの本を捲りながら
  目についた語句にマーカーをひく
  燕
  ウクレレ
  信用取引
  太陽と五徳ナイフ
  辛亥革命と水たばこ
  有機ELディスプレイとビート ....
  遅い昼食を済ませて  
  苺の実を一つ齧る



  幾つもの
  目には見えない高い壁が
  頭のなかに聳え立ち
  増えたり減ったりしている
  煙草を一本吸う
 ....
  ながい歌のあとに
  みじかい言葉があった
  冬の夜の
  ひろい海のまえで
  そこらに捨ててきた
  古い自転車のことも忘れて
  ぼくたちは手をつなぎあった
  なが ....
石田とわさんの草野春心さんおすすめリスト(36)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
青空- 草野春心自由詩615-7-12
なめくじ- 草野春心自由詩415-3-22
思い出- 草野春心自由詩315-2-14
葡萄- 草野春心自由詩515-2-12
煉瓦をみつめていたとき- 草野春心自由詩315-1-24
窓辺- 草野春心自由詩515-1-18
老女の歌- 草野春心自由詩715-1-9
いとしさ- 草野春心自由詩913-11-2
難解さ- 草野春心自由詩613-10-10
鈍行列車- 草野春心自由詩913-9-28
ネックレス- 草野春心自由詩913-9-23
かなしさは夜のなかに- 草野春心自由詩20*13-9-13
まる・さんかく・しかく- 草野春心自由詩413-9-7
勝手にしやがれ- 草野春心自由詩513-8-11
ドミノ- 草野春心自由詩413-7-23
マフィン- 草野春心自由詩813-7-13
夏草- 草野春心自由詩713-6-1
月影- 草野春心自由詩313-5-26
砂漠と虎と兎- 草野春心自由詩513-4-27
- 草野春心自由詩513-3-25
物語へ- 草野春心自由詩5*13-3-12
ロータリー- 草野春心自由詩8*13-3-3
つばさ- 草野春心自由詩813-3-1
ふゆのあおぞら- 草野春心自由詩313-2-21
秋刀魚- 草野春心自由詩7*13-2-19
ポスト- 草野春心自由詩7*13-2-13
問いかけ- 草野春心自由詩813-2-3
マーカー- 草野春心自由詩713-1-29
苺の実- 草野春心自由詩813-1-20
ながい歌- 草野春心自由詩1213-1-18

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