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赤茶けた数艘の漁船が
死んだように泊まっている
コンクリートでできた堅い半島は
港と呼ばれる寂しい場所だ
秋の空の蒼い果てで
透明な名も無き巨人が
白雲 ....
透明なせせらぎが遥か遠くで
岩の間をくぐり抜けてゆくのが
聴こえてきそうな三月の朝
いたずらな顔をして君が
せがむみたいに背伸びをしたから
僕たちは口づけをか ....
顎鬚をたくわえた男が
布を手に玉蜀黍を磨いている
小屋の外に置いた籐椅子に座り
一心不乱に
遥か上の方で青空が
ずっと前に動きを止めたことを
....
固いタイルに
きみはうつ伏せ
ぼくはぼく自身より
長く鋭い針を
きみの背骨の中点に差し込む
素早く、直角に
屹立させる
こうして
線と
....
在るものを
ぼくたちは見つめるだけ
手に抱くこと
そばにいる人を
まもりたいと願うこと
忘れてゆくこと
いつも
名づけるこ ....
しんしんと
雪のように眠っている
君の
シャツの
胸のあたりに光がにじみ
そこだけが
かわいた月面になる
白、
黄、
水色 ....
ゆうがたという言葉が
雨をよけて
まもなく
やってくるので
部屋の掃除をしています
一台のテレビがゴミ棄て場で
ずっと雨に濡れている
その画面の
モノクロームの砂嵐の奥に
きみの分厚い唇がうかびあがり
散文で語ってください、
散 ....
ゆうぐれの
あいいろの
そらたかく
こころでえがく
とうめいなさんかく
かんたんで
たんじゅんで
わらっちゃうよな
つらいことが ....
そんなに簡単に
悲しむなんて
駄目だよ
ぼくが許さない
レモネードがはじける
モリッシーが嗤う
あまりに
ぶきような
きょうの日 ....
真昼
一人の男がテトラポットに座り
何か岩石のような物を
サンドペーパーでごしごし研いでいた
これは私のポエジーです
問いもしないのに男は言う
....
くだらないこと思い出しながら
透明な月を見つめていた
サランラップにつつんで息の根をとめた
かなしみのはりついた君の顔
ぼくは何になれるんだろう
....