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わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
わたしたちは「生きている」
のでは、なく
わたしたちは「生かされている」
のです
と、駅に向かう途中にある
十字架が屋根にのった
幼稚園の
せんせいは、言った
意味はわからなか ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
チョコリットも積んだし
燃料も じゅうぶんだ
さて。
火星へ行くことにしたよ
彼女があんまりうるさく
ぼくをがんじがらめにするから
もう、ぼくは
火星ならタコ(みたい ....
公園の噴水脇に座ると
知らず知らずのうちに
あたり一面真っ青がひろがる。
*
ちょっと、ヨウタ。
あんた私のウサハナのスタンプ、
勝手に持ってったでしょ。どこやったのよ。
....
夜の手のひらに
背中を押されて
チラチラと散らばる
港の明かりを見下ろしに
いつもここへ来る
デパートの裏の階段にすわり
わたしたちは
寄り添ったり
ときどき 無口になったりし ....
路上の車の窓ガラスを
ツバメの低空飛行が横切る
それを見ないふりをして
7月はやってくる。
その間にもわたしは
あなたのことを見ている
アジサイの花びらで
四つ葉を作ってよ。
....
伸ばした腕の先の
手のひらの先の
中指の先っちょが
触れるか触れないか、
のところまで
夏が。
列車を待つ顔たち
照らす陽射しの角度を
知ってか知らずか
右へ傾く
....
呼吸したり
成長したり
引き潮を待ったりしてたら
20億年
あっという間に過ぎた
海底では
あらゆる生物が
地球を
ぐるりとくるんでいる
海はまた
それをまるごと
く ....
青い稲妻が駆けぬけ
入道雲をふちどる
存在の有無。
電光は
20キロ四方まで届く
隣にいるきみに
ぼくの放つ光は
届いているだろうか
雷鳴は
空に吸い込ま ....
寝ているすきに
あの娘の目ん玉を
拝借してきてしまった
薄目をあけて眠る癖が
あまりに
かわいかったから
鼻でも 耳でも
なんでも良かったけど
薄目にやられた
枕元に置い ....
街外れの小さな本屋で
彼女と偶然再会した
本屋でよかった。
きりりとした空間では
おしゃべりにならずに
すむ
彼女が手にしている
水色の背表紙の本が何であるか
なんてことは
....
「ラムネ買って」
「チョコレート欲しい」
そう言ってねだる子供達に
困り果ててなお笑顔の母親たち
あのころ
欲しいモノといえば
せいぜい駄菓子屋のおばちゃんに
100 ....
死んだつもりで生きなおせ、と
誰かが言ったけど
死んだつもりになんて
なれない
ぼくには過去があるし
ぼくには記憶だってある
こんちくしょう
死んだつもりになんて
なら ....
押入れに顔をつっこんで
ぐるりと見回したら
天井の端っこに
小さな穴ぼこがあいていました
穴ぼこの向こうは
下から見る限りでは
ただ ただ 暗闇でしたので
なんだか怖くなったぼくは
....
ぼくたちが住む
この星の
実態を知るべく
ならば
地球を割ってみよう、と思いついた
ぼくがやらないにしても
いづれ壊れるみたいだよ
と
誰かが言ってたし
それなら いいよね
....