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ゆるい風が吹き込む午さがりの窓辺に
詩がものうげにもたれかかって
遠い目をしている
(私のところにあらわれる詩はいつも
遠い目をしているが
この時期はとりわけ遠い目をしている)
....
夜の中空に
五月の惑星がある
果実のようにある
そこからぽとりと垂れた雫のように
君が目のまえにあらわれた
などと
君のことを詩に書いてみても
五月の夜気はどこか水のようで
だから ....
雨季が明け
浄らかな風吹く夏の午前
こんなときは
あのきらめく湖面と
小さな桟橋に立っていた君の姿を
思いだす
君はかつて歌っていた
約束の地のことを
そんなものは何処にもないと知 ....
やわらかな祭壇から羽搏く宝石函
銀のスウィートピーが窓辺で揺れる
炎と氷の繊細なレースを身に纏い
水平と垂直との幸福なダンス
ダイアモンドの心臓の生きいきとした旋回
ピアノの鍵盤は記憶と予感 ....
七月の青い空には漂う硝子の雲たち
手のひらの上には天使の破片
陽射しにきらきらきらめいている
これを僕にくれたのは君だったかな
それがどうしても思いだせない
君がよく口ずさんでいた
夏 ....
色硝子のようにあざやかに
此の世へと迸りつづける君の生
でありながら同時に
{ルビ果敢=はか}なく無へと消え入りつづける君の生
誰よりも
あやうくきわどく揺らめきつづける ....
わたしはわたしの中に
夜を溜める
そしてその夜を醸してゆく
深くなるように
やわらかくなるように
わたしはわたしの身体に
花を鳥を
風を月を沁みこませる
わたしの中の夜が
やさし ....