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辺りは静かで仄暗い
細かな気泡としなやかな水草だけが
照明の光を蓄えて揺れ動く
水槽の中を泳ぐアロワナは
夏の夜行列車に似ている
いつまでも眠れず、読書も捗らなかった
車窓に触れたゆび ....
はなかざりを編んでみたかった
いまはただ、そう思う
ガラス箱のような草のうえで
僕は声を持たない子ども
冷たい妹の胸に耳を当てて
見上げた空には白い斑が散っている
だれか、あの青いガラ ....
草を踏む
表紙をひらく
頁をめくる
一行目に木洩れ日
天使が羽を
休めている
睫毛が落ちる
ふっ、と息を
ふきかける
濡れたたてがみ
あたたかい
蹄の音
まだ、息は ....
プラットホームを歩いていたら
数歩先で人と人とが
すれ違いざまに接触した。
体と体の打ち合う音がして
ボタンがひとつ
床に落ち、私の足もとに転がった。
思わずそれを拾い上げ
視線を元の場 ....
B・A・N・!
銃口からアルファベットが
弾けて、飛んだ。
はためく万国旗のあいだを突き抜けて
BとNは、きれぎれの雲、そのすきまに挟まり
Aは鋭い先端で、空を直進していた一羽の鳥を
グラ ....
殴打する中空に指を二本立てたら銀河の果てまですべてはピースだから、水中眼鏡かけて、太陽の目を潰して、苦くて冷めきったブラックコーヒーで夜を水没させる肉体労働をしようよ。喫水線がシンデレラの膝下にとど ....
筆先を紙上に置く
まだ、なにも見たことのない
目のことを思う。
インクがにじみ
黒点が生まれる。
筆先を右に移動させる
まだ、なにも聞いたことのない
耳のことを思う。
ふたつの黒点 ....
天井から集まる
星屑のめいめつが
頬からこぼれそびれて
睫毛にからまり
目を閉じると
角膜の表面に錨をおろし
浮標のように
ただ揺れている
覚束ない眩しさを
ひとつ摘んで
たやすく ....
花瓶から
あふれた水の
殆どは書き記されて
干上がった
窓辺に立てられた
イーゼル
幼児に
水で手を
洗われるような
3月に画布を
はる
襟を立てて
子宮に還りたいと
手折られる関節
いつか窓から
来訪した譜を
爪弾いた
罪人を、外套に
収容する
風力発電所が
洋上に向ける
鋭い、まなざし
交差点に
突き刺さ ....
乾 加津也さんのsampleさんおすすめリスト
(10)
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日付
図鑑に載らない動物
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sample
自由詩
10*
13-6-1
天使は川辺にて
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自由詩
7*
13-5-30
森を読む人
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自由詩
4
13-2-15
ボタンホール
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自由詩
6*
12-12-4
事件とウイスキー
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自由詩
4+*
12-10-26
カフェイン
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自由詩
3
12-10-23
空白
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自由詩
5*
12-9-4
暗礁
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自由詩
10
12-9-3
3月
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自由詩
5*
12-9-2
冬にうまれて
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自由詩
4*
12-8-29
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