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だれのものでもない
できた橋を
わたる
生き物には足があるようだ
二本あればわたれるようだ
いままでどおりなら
唄い酒場のような居場所があり
(どこか)わたってきたところ ....
ふっと
水気を含んだ本の両脇
不穏がととのい
遡上がはじまる
奥の詩から女がたちのぼる
ひるがえり
紙面にむんずと顔を押しつけ
ことばのインクの溜め池は
頭頂に浮かぶ
巌流島から ....
あなたは激しい加速をとり違えた氷のように歩いていた
わたしの喪失は人混みにもまれていよいよ遠のいていた
あなたの鈴のような耳のひらき
わたしはわたしのせいで気がふれてしまいたかった
“わた ....