弟と拾ってきた仔犬
団地では飼えないからと母にきつく言われ
泣く泣く拾った場所へ戻してきた次の日

くんくんと悲しそうな鳴き声忘れられなくて
自転車に乗り夢見ヶ崎まで

小高い丘の上には ....
街灯の先にある交差点、ボーッと浮かび上がる黒い物体 誰も顧みることの無い深夜 行き交う車も無い漆黒の深夜、黒い月

それは奇妙な物体、人体様のものだが、部位それぞれが異なる。体毛はうっすらと生えて ....
不確かな全てを確かなものにしていく
ひまわり柄のワンピースを見ていた
あなたに、
わたしの中でずっと壊したかった
砂時計が初めて音を立てる

ギターの弦をやさしく弾かれた瞬間、
見失った ....
少し遠いところで
子供たちの声がしている
 
日陰に座り
そして黒い日傘をさして
何を遮断しているのだろうか
あの女性は
 
蝉の声が喧騒よりも
むしろ静寂を呼んでいる
身動きもせ ....
 
 
昼間はゆらゆらと
国道の標本で遊んだ
すぐ側で乾いたアイロン台が
牛のように転がっていた
人の形をしたプラスチック製のものを
道路に並べて行く
ここには車が来ないので
安心し ....
こんなとこで止まっている場合じゃないのよ、

女は小さくため息をついて

左にシフトした視界には
男と女がよそよそしく
けれど交わることを想定し
キールのような空気を纏っている

 ....
あさ起きて、いつものように眼鏡をかけた
しかし何も写らない
眼鏡が写らないと何も見えない、
それは識別不能の抽象画の世界
超印象派な日常

ベッドサイドで頭を抱えていたら
妻が起こしに部 ....
{引用=
旅群の影に腰掛けて
静かにナツメを噛んでいた
夜露に濡れた
クサカゲロウの卵塊が
孵化した途端
光に溶けて

満ち欠ける月が映る
瞳を抉り出し
過去を刻んだ証人として
 ....
昔たってそんな昔じゃない昔
筑豊とかの炭鉱では女のひとも坑内で働いていたらしい

上半身裸で乳房丸出しの腰巻き一枚
薄暗く蒸し暑いヤマの奥底で
気の荒い男衆に混じり
掘り出したばかりの石炭 ....
なんだろう
似ているきみがいたのに
ぼくはびっくりしている
もしも前世というものがあるのなら
たぶん兄妹だったのかもしれないね

線路ぎわのトタンのバラックがぼくの家でした
毎日が地震の ....
うつくしい季節です
赤い花は風に千々に、
報われないとか
叶わないとか
そんな怨み言とはかかわりなく
身を任せてゆきます
昼下がり、ぼくは自ずから
人並みに戦々
立ち向 ....
{引用=
紙上に佇む
痩せ細った枯れ木
磨り減ったペン先がつけた
掻き傷の隙間に
深く根を張るインクの滲み
どこに行くとも
なにを残すとも
示さぬままに
埋まってしまった行の終わりの ....
うす青く空にひらいたドアの隙間から
輝く雲が覗いている
今も遠くはなれて君をおもう
見えない手のひらで
君をそっと抱き寄せる
(いつの日もよすがを探している)
(途方に暮れて)
あるいは ....
静かにうたえば
静かな明日がくると夢みた
みそうだった
こんな静かな夜だから

どこからか訪れるはずの
朝がくる前に
私は少ししなければならない
たとえば謝罪のような
 ....
笑いながら蹴っている
同じ学生服の生徒を
消えそうな顔を歪める君の
すぐそばを通り過ぎる大人は
目の端で全部とらえていた

僕らいつもこんな風なんです
といいそうなずるい笑顔に
言葉を ....
山奥の針葉樹林で生まれた
朝露のひとしずくは
無数のひとしずくと共に
苔や羊歯の間を縫って
ひたすら傾斜に従う流れになった

渓谷では
無邪気にはしゃいで
いたずらに透き通って
 ....
眉毛が伸びる
気がつけば俺も四十代
そろそろ眉毛も伸び頃だ

ここんところに一本、特に長い眉毛が生えている
四センチは越えている奴だが、こいつがしょっちゅう向きを変える
上を向いたり、なな ....
*一時限目 数学*

美しき微分/麗しき積分/淫らな糖分=知性の所望するもの<睡蓮たちの睡魔 
無限の輪っか((エタニティー=ハニーディップ×2))
を、黒板の隅に小さく描く

カリカリカ ....
大きな病院へ行く
今では車ですいすい行く
たくさんの科があるけど
私は間違えずに
いつもと同じ科に
しかるべき物を提出する

嗚呼待つのは嫌だ
いくら壁に素敵な絵が飾ってあっても
い ....
朝の散歩に出かける
浜辺に梱包されたものが置かれている
私が梱包をほどいてしまったばかりに
宇宙の内側に居たはずの私達は
混沌とした宇宙の外側に放り出された

そこに収められていたピアノ
 ....
ママは本当です。
それは、私のひな菊です。
(教えたうそつきさえ)

白いスカートが似合う少女。

パパは本当です。
そして、うそつきさえ本当です。
ひな菊は私に教えました。

 ....
もの憂いのには もう飽きた

あかるいうたを 謳いたい






夜明けのまえが なお暗い

とはいえ わたしは しっている

こごったような 濃紺の

ぴちりとパ ....
Oh,今宵 金星の真下に三日月が!

何と申しましょう
トルコの国旗を縦にして いえいえ
モーリタニアの国旗を藍で染めたよう
ちょっとした回教徒気分にございます
その贅沢な、可憐な様をどう ....
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