とても壊れやすい成分で
あなたは人になった
よりによって
ヨーグルトだった
カスピ海
と、発音さえできない
あなたの名前の
一部なのに
凝縮された思いが風船のように膨張して、弾けた飛沫が言葉になった。
そんな鮮烈なイメージが浮かんだ。それほど思わぬ角度から言葉が繰り出してくる。
凡庸に収まらない突き抜けた斬新さが、この詩集の魅力だ ....
どこかで
見たことのない
同じ夜を告げるのならば
眠らずにいよう
刹那の翳りも惜しまずに
空が目を覚ますまで
満ち欠けを繰り返し
地上を見つめ続けるのは
この世界の何かが
わ ....
灼熱の片隅で
擦れ合う声とこえ
喧噪が
水のように
ふたりを追いかけてくる
ことばが
喧噪に濡れながら
絡みつく薄い皮膜
喧噪が証明する
わたしたちは一人という事実
けれど ....
刹那の隙に覗く空も
今日は鈍色
目を閉じても
訪れない森のなかで
息をする音を探す
何かを発したくても
伝えられない感情が
冷たいシーツのなかで
絡まり縺れ合う
感情だけが
....
今夜は神日和{ルビ=カンピューリゥ}
神日和{ルビ=カンピューリゥ}は物忌み
神日和{ルビ=カンピューリゥ}の夜は家の外へ出てはいけない
村の年寄りは若者に諭した
けれど若者は
十三日の ....
著者二十代で刊行した第一詩集から第七詩集まで、
半世紀に渡る鋭利な感性の詩編とエッセイからなる一冊である。
この凝縮した水野ひかる氏の世界は、
幾重に年月を経ようとも衰えない「女性力」を感じる。 ....
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