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まんまるい
月の照る夜に
凍てた川を跨ぎ
去ってしまった者へ
まんまるい
陽の照る朝に
そこらじゅうの鏡に
閉ざされた思いへ
....
短くなった
夜をうち捨て
靴の裏で
光をつぶした
だれでも
知っている
夜の次は
朝だ
そして立ち昇る
あいま ....
夕日なんて見たくない
きみは言う
紅く
どこまでも紅く
終わってゆくものなんて
透明になんてなりたくない
ぼくは思う
歓びは
柔らか ....
春光に
匂う
息をつめ
畦道をゆく
(ただのいきもの
(ただのいきもの。ここでは。
匂う
緑、
汗、
夢が
....
きみと歩く
この細い並木道
きみが
春風だから
ぼくは飛んでゆくよ
くだらない
愛の歌だけ詰めた
おなかをかかえて笑うよ
....
疲れたら
もう
眠ったらいい
重い荷物を
置いてくればいい
うす明るい
夢の中に
行こう
夢の中に
沈めてしまおう
....
もしもし、
春になって
やさしい色の花で
世界は染まっていったよ
せつないときには泣いてもいいかい
もしもし、
なんとなく今朝
中川家の漫才を ....
二人で
ふとんをしこう
最後のニュースが
かなしい話を終えたなら
丁寧に
ふとんをしこう
僕らを責めたてる
光たちにつかれたなら
....
婆さんが呆けた顔で笑っている
海のものとも山のものとも知れぬ婆さん
老いた記憶をさぐっていけば
そこしれぬものが埋まっているはずなのに
婆さんは呆けた顔で笑って ....
さくら、
きみは花ひらき
したたかに水面を染めてゆく
さくら、
もうきみの匂いがする
春が運んでくる
忘れかけていたものたちを
そっとひとかか ....
やがて腑分けされてゆく
光と
それ以外と
座っているのか
立っているのか不確かになり
俯くが
皆目わからない
また一つ
....
川辺で
黒い指が
内臓を洗っている
夜が
温かな口をひらいて
言葉を吸っている
女たちが
此処に横たわり
草のように ....
川に流れる。
水が流れる。
石ころが
魚たちが
鴨が流れる。
川に流れる。
夕焼けが流れる。
燃えるような
色の群れが
と ....
81.
太陽の真実を
月が省察している
82.
会議室のホワイトボードに掲げた
サハラ砂漠のレントゲン写真
言葉は保冷剤ほどの値打ちもない
....