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  昭和と平成の間にはさまって
  押しつぶされてしまったような工場を
  眺めながら煙草を一本喫う
  犬の散歩をする{ルビ母子=おやこ}は
  怪訝な顔ひとつ見せず通り過ぎる

 ....
  皺くちゃの子ども
  緑色の鋏を手にして
  揺らめく雲の端を断った



  いま、
  目覚めの時
  山の連なりは遠く
  朝焼けに縁どられ煌めく
  森のどこか ....
  

  八月、湿り気に膨らんだ夕暮れどき
  片田舎の駅に停まった盆の列車は
  沢山の人いきれと垢の臭いと
  目には見えない透明な虫とを一緒くたに載せて
  間もなく動き出そうとし ....
  あなたの腿に
  手を置く



  その
  柔らかさの奥に
  生きていることの
  鋭いさびしさがひしめいていて



  ぼくの心に
  さっと
  一 ....
  児童公園は
  冬の日暮れ
  とうめいな影がつどい



  塗装のはげた
  ブランコの揺れる下
  ついたりきえたり
  ついたり
  きえたり



  ....
  今年の夏は暑い
  一つだけ
  君に言っておきたい
  この世で最も静かなものは
  薬缶だと思う
  奪いたかったのは
  肉体ではなかった
  きみの内側にひそむ
  薄暗く丸いものでもなかった



  それは概念だった
  女だった
  ぼくが
  命をかけて奪い ....
  きみのうしろに
  きみが見える
  脱ぎ捨てたシャツのようにさりげなく



  きみのうしろに
  きみの母や父が見える
  ひっそりとしたブランコや
  いくつもの ....
  祖母の家で
  祖母と話す
  昔ながらの広い居間
  たっぷりの朝日が射しこんでいる



  通っている盆栽教室のことを
  嬉々として話す
  新しく入った若い女の ....
  世界があまりに苦すぎるので
  曇り日の朝
  空を飛んでいた
  歌を
  菜箸で奪った
  噛みしめたそれは
  {ルビ土塊=つちくれ}の味がした
  接近しあうことだけ
  常日頃おもうだけ
  おなじこと
  おなじとき感じるため
  切磋琢磨するだけ
  愛は邪魔、去れ
  重いだけ



  恋をして
  ぼくたちは ....
  雨の
  花
  上空に
  咲いた、咲いた



  巨きく
  透明な手、
  地へ向け
  咲いた、咲いた



  此の雨を
  辿りゆきたい

 ....
  人の怒り
  兎の悲しみ
  牛の痛み
  マンモスの憂い
  ゾウリムシの儚み
  蠍の板ばさみ
  イソギンチャクの絶望
  カワウソの焦燥
  蝮の煩悩
  ウォンバッ ....
  富士見台駅
  ホームのベンチに
  ぽつねんと腰おろし



  夕ぐれどき
  カレーパンを食べる
  べつに食べたくもない



  電車ではない
  待っ ....
  いびつに
  きみをだきしめる
  できるだけ身ぢかく
  みつめるため



  しろい
  しろい
  息できない
  うまく笑えない
  とても、
  ビュー ....
  むかし、近所に住んでいた
  髪のながい女の人が
  ことばはオモチャじゃありません
  そういって
  心に両手をつっこんで
  僕の言葉を持っていってしまった



 ....
  ジャングルジムのぽつんとある
  くらい公園
  ここが最後だ
  ここからこころはどこへもゆけない



  ざらついた月の下で
  気がすむまで
  煙草を吸ったら
 ....
  

  61.

  半規管の殺風景
  宇宙を感じ
  宇宙に感じられること

  62.

  包帯を巻かれたマイクロフォンで
  肋骨にヒビが入った空気を震わす

 ....
 1.花畑に咲く

{引用=もう朝は終わってしまった
ちいさな女の子の
やわらかな手のうえで



朝は終わってしまった
だれかの罪が
ぼくの眠りを食んで
プランターの中で育って ....
  きみの部屋は
  病室のような匂いがした
  八月も十二月も
  おなじような匂いがした
  気の遠くなるほどたくさんの
  交わりの匂いがした
  病室の匂いがした
  だ ....
  ぎらぎらの夏の果汁を飲み干してゆく君の喉が
  自動機械のように凹んだり膨らんだりするのを
  世界が終わってまた始まるときまで見ていたい
  すべての鳥の羽を一枚ずつもぎとって ....
salcoさんの草野春心さんおすすめリスト(21)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
工場- 草野春心自由詩10*13-9-1
皺くちゃの子ども- 草野春心自由詩712-11-10
盆の列車- 草野春心自由詩412-8-12
- 草野春心自由詩9*11-12-23
児童公園- 草野春心自由詩411-11-28
薬缶- 草野春心自由詩4*11-8-18
奪いたかったのは- 草野春心自由詩3*11-8-11
きみのうしろに- 草野春心自由詩211-7-26
祖母- 草野春心自由詩711-7-22
曇り日の朝- 草野春心自由詩4*11-6-19
太陽系男女- 草野春心自由詩4*11-6-13
雨が咲く- 草野春心自由詩2*11-5-29
考える- 草野春心自由詩5*11-4-9
- 草野春心自由詩211-3-25
ビューティフル- 草野春心自由詩4*10-7-13
初恋- 草野春心自由詩410-7-13
ジャングルジム- 草野春心自由詩4*10-7-10
都市風景(61〜80)- 草野春心自由詩310-7-2
ゲルニカ- 草野春心自由詩310-6-8
分娩室- 草野春心自由詩210-5-26
天国とオレンジジュース- 草野春心自由詩210-4-6

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