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月のない夜に盲いた鈴虫がすすきの原に星を降らせる
君のいたソファーにひかり、いま君は別の銀河に。so far away
今はもういないあなたの席すわり苺みるくのストローをかむ
{引用=
花霞 目に映るのは君の背に散りゆくたったひとひらの夢
北国の君に(好きよ)と花びらで書く 南風がさらってゆくよ
首筋に君が降らせたひとひらは淡い花より ....
きらきらとチョークの粒子の降るサハラ(先生、胸が灼けるくるしい。)
最果てのふたりの頭上に北極星「"this is the end"」「そしてはじまり。」
カタログを開けば色の洪水であたしは靴の箱舟に乗る
嵐去りなぎ倒された{ルビ畑=はた}に立ち、「またがんばればいい。」父は鎌持つ
冷ややかなおんなのにじむ爪先を波に浸して海を身ごもる
世界一星の近くで息をする {ルビ宇宙=そら}に寄りそい晴れわたる肺
なごり雪、春を待てずに十八で溶けたあなたのように儚い
なめらかな夜の重みがのしかかり孵化した蛇と砕かれた月
遠浅の海を渡って描きこんだ水平線のかなしい夕日
アリスからきみに差し出すトランプは52枚のハートのエース
ひかり差す春の階段かけあがる 紋白蝶のゆらぎをまねて
春雨に濡れるこうもり傘を閉じ君をついばむしなやかな夜
銀の雨、初めて君を知ってから37℃微熱のくちびる
悲しみをすえ、そうじきよ。ぞうさんの長いおはなも彼に届かぬ
クレパスのさくら色だけ短くて買いたしにいく春の自転車
やわらかな光をたばね菜をゆらす瞳に春を住まわせた人
屋上でバニーガールは恋に落ち月のベールをまとう十二時
病室の君も宇宙を駆けめぐる秒速30キロのランナー
猫の背のまるみにそって春の陽が君をくすぐる、うたたね日和
雨の日は虹の七色探索す。ポスト、au、ロフトにハンズ。
本当のわたしを浸せばバスタブに泡が咲いてる、泡が散ってる
「ヒヤシンス」うさぎの耳にささやいて花の白さを月に浸した
「再発は再出発のことだよ。」と笑った母のわたしは娘。
ふるさとの母の帰った日の夜の 机にぽつんとはっさく光る
冬の夜にひまわり萌える だれひとり踏み荒らせない心の花壇
シロナガスクジラの親子そして僕、だれもが青い星の旅人
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