すべてのおすすめ
(汽車は鉄橋を渡る)という詩を読んだ時
僕の乗る列車はまさに鉄橋を加速して
大きな川を渡っていた
人生には時折、そんな
場面と場面の符合する
シンクロニシティがあらわれる
....
つよく握りしめていた
拳を、そっと開いてみる
この掌は、いつのまに
透き通ったひかりの泉が湧いてくる
不思議な器になっていた
在りし日の詩人が仲間等と
文学の夢を語った赤煉瓦のCafeで
独り一篇の詩を綴るひと時
当時のマスターが
詩人へ送った葉書のコピーと
花束を捧ぐ想いを込めた詩を
重ねて
鞄に ....
鬼に視える人の瞳をまっすぐみつめ
全ての仮面を剥ぎ取る時、そこには
両腕を広げて頭を垂れた人が、澄ん
だ瞳の奥からじっと私を、視ている
君よ、忘れたもうな
いかなる時もあかい実を{ルビ包=くる}む
透きとほった
ほおづきの殻のあることを
ほんとうに心配なことは
まるごと天に預けよう
あまりに小さいこの両手は
潮騒を秘める貝として、そっと重ねる
試合前の練習中
選手たちにノックしようとしたら
突然彼は胸を抑え、
バットを握ったまま
グランドに倒れた
担架に寝かされ、救急車で運ばれた彼を
原監督が、チームメートが、ファ ....
忙しい日々のレールを脱線するように
不意に訪れた長い休暇
病室のベッドに横たわる僕は
窓外に立つ
独りの樹の葉群を躍らせる
風、を視ていた。
( きらきらと、協奏曲の奏でる ....