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線路脇に建つ家に生まれて
ずいぶんと長い間 そこで暮らしたせいか
今でも 5分おきに
からだを揺らしてしまう
そうやって揺れているうちに
いつしか わたしは
窓ガラスの
3メート ....
窓枠の内側だけがすべてなら世界も朝もはねかえすのに
目をとじたままたしかめる左側まだだいじょうぶ黎明の時
暁の別れとともにおとずれるコーヒー2杯の蒸気する朝
ペダル踏むか ....
夜半の網戸に
数回、アブラゼミは体当たりをし
ジジジッと最期を知らせた
アブラゼミも網戸もぼくも
誰も悪くはないよ
かなしみは 今、
いつかの記念日の時計
いつかの8時を告げた ....
ここのところの暑さは
かなわんね、と
足元で声。
室外機のうしろ
干からび寸前の
トカゲが
ペラリペラリとにじる
爬虫類系、得意じゃないけど
手のひらにのせてやった。
こ ....
両思いなんてものを
当人よりも先に
他人に知られてしまった
ときは
ひどく やっかいだ
必要以上に
ぐるぐる ぐるぐる
と歩かされて
息苦しいこと
このうえない
それでな ....
新しい長靴に浮かれて
水溜りを探し
右足をそっと入れると
次の瞬間 目が回り
どこかに迷い込んでしまった
「噴水の広場」
あやまって
噴水の真下に立ってしまった
と 思 ....
寝ているすきに
あの娘の目ん玉を
拝借してきてしまった
薄目をあけて眠る癖が
あまりに
かわいかったから
鼻でも 耳でも
なんでも良かったけど
薄目にやられた
枕元に置い ....
街外れの小さな本屋で
彼女と偶然再会した
本屋でよかった。
きりりとした空間では
おしゃべりにならずに
すむ
彼女が手にしている
水色の背表紙の本が何であるか
なんてことは
....
お菓子の家は
どこにあるの。
雲ひとつ見つからない
青く平べったい空が広がった
あの日
雲だけでなく
あの人までも
見つからなくなった
心からあの人を
信じてきってい ....
夕やけがキレイ
と言ったら
うん、と小さくうなづいて
「なにか、おわっちゃいそうな気がする」
と つまらなそうに
こたえた きみ。
そんなきみを
ぼくは とてつもなく
....