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風に向かって 立つ 風に向かうと
風の音に 耳かたむける それはもう ずぶぬれで
ここを知り 飛ばされないよう
肯定するために ....
そろそろ 手の届かない高さで
とても 持ち上がらない重さで
絶対 よけられない速さで
全部は 見えない広さで
たとえきれない 複雑怪奇
もう 背丈を越えて 流れています
なにげない
なつの ゆうぐれ
そんなに たかくは
とべやしない
ふうけいの なかの
いっこだけの てん
であるところの
わたしが
おさまりきれない
でかすぎる ゆうぐれ
あ ....
いるとすれば
とんでもなく 無能な
かみさまが
うばっていったものが
みけんのしわに
ひっかかって
とれない
これも ほね
はくぶつかんの
くじらの ほね
わあおおきいな と
おさなごたちが
みあげるので
かなしくはない
くじらの ほね
わあおおきいな と
わたしも みあげている
....
銀河の向こうへ
飛んでいったりしない
腰の痛くなる椅子に座って
不思議の国へ迷い込んだりしない
目の痛くなるこんぴゅーたで
呪文を唱えて
魔法をかけたりしない
人達と一緒に
....
曲がり角ひとつ
曲がりそこねたようなので
こちらを振り向きながら歩いている
不思議な黒猫の後を追って
歩いてみる
もとのかたち ひとつ
間違えて捨ててしまったので
鈴の音たてながら ....
きっぱりと割り切れるものは
割り切れないものたちに
負けてしまった
くるりと円いものは
いびつなものたちに
負けてしまった
さらさらと流れるものは
意固地に止 ....
鍵を なくしました
鍵 という言葉と
なくした という言葉が
うずまいて うずまいて
とりかえしつかなくて
必死でさがしましたが
ありません
仕方ない ....
金の砂 銀の砂
海にいるのは
不思議に光るものたち
照らされる闇は 青い
身体から 逃げ出した魚たち
金の砂 ふりそそぐ
銀の砂 しきつめて
いなくなった こどもは
てんごくにいると いいですね
いなくなった こどもは
わらっていると いいですね
いなくなった こどもは
かぜになれたら いいですね
いなくなった こど ....
まだ 眠い 朝
家の前に
赤ん坊が ひとり 欲しい
祝祭のように 泣き声をあげる
赤ん坊が ひとり 欲しい
ふとみつめた
てのひらから
おどろくほど
たちのぼる
つめたいほのお
ゆらゆらと
そらへ そらへ
とどく
でしょうか
もういない
切り取られた空間
いつもの椅子の上に
黒く切り取られた空間が
重く 黙りこくっている
しわしわと凝った
妻の肩を もみながら
目は 切り ....
上も下もない
だから
見上げても
見下ろしても
しかたがない
前しかない
後ろはない
ただ
風は 吹いている
柱のいっぽん抜けた家で
かたむいたままの
家族の会話
大根の漬け物と
おみそ汁は
あいかわらず
おいしいのだけれど