すべてのおすすめ
空中に放り投げたる自転車の車輪の下の花びらが好き
背景として描かれる枯野にてかんざし拾うそれはゆうやけ
水没す古代遺跡の燭台にふたたび炎が灯る邂逅
風邪薬ばらまく園児裏山 ....
隅々までほこりを吐いてこの部屋は呼吸も忘れた屍である
恐ろしき世界のごとき牙かくし小さな鳥を演じる小鳥
天体にばらまくひとみ瞬く間消えゆく星が消えゆく速さ
投げつけた夕暮 ....
今赤き風船ひとつきみの手をはなれ空へと浮気なぼくら
胎動を促すごとく数々の伏線蜘蛛の巣顔にかぶれば
ソヴィエトで焚き火にあたっている少女大陸横断鉄道の窓
金魚鉢のふちで指 ....
今青き蛇の抜け殻くぐりぬけ廃墟のごとき雨の降るかも
コスモスの群がる丘で赤と青 少年少女が燃やすむらさき
錆び付いたあなたが今夜もあらわれて僕のくちびる噛んでさよなら
降 ....
死火山に松明投げるかのごとくあなたが閉ざした扉をひらく
灯台の下で探すが見つからぬ懐中電灯を持ちしあなたが
ふたりしてベンチに座りブランコの鳴き声などを聞いた十月
畑には ....
夜にしか会えないわたしたちだった合わない靴を無理して履いて
クラクション鳴らすあなたの矛先はわたしと彼女のちょうど真ん中
コーヒーを投げるあなたの手の平は薬指から冷めてゆくのね
....
生徒数ふたりの村の学校の日直いまだ解かれざるまま
箱舟に辞書を積み込み忘れたがために無数の言葉も消える
ソドムとゆう街が滅びたときでさえどこかで恋が芽生えただろう
「カイ ....
僕のなかで名もない何かが暴れている
鎮めるための唄をうたっておくれよきみ
タイムカプセルの話なんか持ち出したりして
そんなんじゃいつまで経っても
掘り起こすことなんてできやしないさ ....
飛行船はるか下方に点となり僕らふたりは帰れないまま
「ふらわぁ」と君がひとこと呟けば辺り一面芽吹きだす花
明け方に鏡の部屋に迷い込み乱れ咲いてるきみの朝顔
花園で追いかけ ....
縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる
夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄
鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ
鏡台に映る妹べにを ....
廃校の壊れた椅子に腰かけてひとり君待つ四学期かな
朝礼で神を失う君を見てはるか昔のあの地を思う
漆黒の絶縁テープ巻きつけてアルバム燃やす十月の夜
体育館裏の壁際いつまでも ....
ゆふぐれに君とふたりで春の墓地ここでひととき幽霊しようか
「五千年前の約束忘れたの?」花火しながら妹が問ふ
昆虫がふたりの為の出会いなど知らづに運ぶ花粉かな
警報機こわし ....
焼 き 魚 泳 ぐ 世 界 は 詩 の 世 界
前 世 で の 僕 ら ふ た り の 墓 参 り
夢 枕 寝 グ セ で 立 っ た 先 祖 さ ま
ね み み み ず 寝 間 着 ....
誰かが扉を開け去っていった
レモンが置いてある部屋に
出し抜けに押し寄せる大量の泥
僕だけが
部屋にいないので
どうすることもできない
何もすることがないから
土を掘っている
素手で掘っていると
爪の中に土が入って
指先が赤く腫れてきたので
彼女を呼んだ
小さなスコップを手に
彼女はやってきた
何が出てくるかな ....
飛行場だった廃墟に忍び込むと
僕は思わず
飛行機になってしまう
両手を広げ
雑草の生い茂った滑走路を
全力疾走
夜風は冷たくて気持ちがいいな
思わず顔が微笑んでしまう
いつの間にか「キ ....