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「軽くふれて下さい」という場所に
そっと手をあてると、自ずとドアは開いた。
人の心も、軽くふれてみようと思う。
川の畔の土手に腰掛け
考える人、のポーズを取る私を
周囲で風に揺られる{ルビ秋桜=コスモス}の花も
飼主に引かれ、小道を従いてゆく犬も
みんな秋の琥珀の黄昏に包まれて
....
私の魂というものは
量りにのせて
測定することはできません
たとえば眠りの夢に落ちる時も
たとえば悲嘆に暮れる日さえも
私の内的生命は
一本の透けたアンテナを立て
....
「コシヒカリ」の袋を抱え
{ルビ米櫃=こめびつ}の入口へ、ざああああ
と無数の米粒を流しこむ
その音を聞いてるうちに
無数の米粒の一つ一つに
無数の顔が浮かび上がり
ふたつ ....