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明るい陽光を浴びて
僕の黒猫は
幸せそうに膨らんだ
黒い鞠となって
朝から眠り込んでいる
彼女の黒い体毛は
朝の陽光を吸い込んで
幸せ一杯に膨らんで
....
ねえねえねえってば
私がパソコンの画面指差してるのに
あの人は我関せずとばかりに出かけてしまった
公園の桜でも眺めに行ったのかな
パソコンの画面に目を戻せば何だか騒がしい
う〜ん ....
一人行くと 決めていた
闇夜に去ると 決めていた
頭上の月は 虚しくも
一人の影を 映し出す
あの日二人で 見上げてた
優しい光の ままの月
今の僕には それさえも
....
それは
君の絵の 終わり
余計な厚みをつけはじめたら
原色の絵の具を白地に塗りつけたのなら
キャンバスの枠をはみ出したのなら
もう
それは
君の絵の 終わり
君は旅人だった ....
愛しているよと囁いて
愛していないと言われたの
不思議な気分になったけど
同じ夜には泣けないわ
尖った月に照らされた
私の気持ちは隠された
待っていたのとつぶやいて
あいたくない ....
もしもうひとつのパラレルワールドがあるのならば
その世界の僕はどういう人生を歩んでいるのだろうか
もし幸せな人生を送っているのかな
僕の人生と取っ替えっこしないかい
君が死ぬと ....
いつか聞いた
オルゴールの音が
こんなにも懐かしく
わたしの島にもとどく
音階は等しく
何度でも
誰もいない浜辺に辿り着き
朝には朝の
昼には昼の
夕暮れには夕暮れに
染 ....
だれもいない部屋は/仔犬のように眠っている
机上の日めくりカレンダー/無数の架空の幾何学模様
夏の午後の光と影に/わすれられた時がにおう
....
テーブルの上には、
分からないことばかり
整然すぎるほど あふれ
どれが なになのかを
さがして、時間を費やすけれども
けしてそれは、愚かなことなどでは
ないのです。
....
きみの言葉を聴いていなかった
ぼくによろめいたきみの寂しさを
聴いていなかったからごめん
サイゼリヤの駐車場で
ホテルにいくまでの時間を過ごした
きみはお父さんのことや
....
紅葉の葉を見上げたら
葉っぱの裏側見えました
紅葉の裏側は綺麗です
光が透けて煌いて
赤に青に 揺れる紅葉が
なんだか白く見えました
風にゆらゆら ゆらめく紅葉
赤く染まって何想 ....
葉擦れの音を君と
芝生に座って聴いていた
かなしみは悲しみの密度で
虚空を舞う飛行船のように
愛されたいと誰かが言った
僕たちは鼻先で笑った
ここにいるそのことの偉大さを
認めない愚 ....
壊れたものを修理にだしたけれど
どこの店に行っても直すことができなかった
別れ際のあの不意な涙は
今も僕の掌に落ちて染み付いている
必ずハッピーエンドになるとは限らない
....
アスファルトのうえに
足が浮いているのは
木枯らしに吹かれるままの
影のないわたしだからだろうか
思考はしゃべると渇いてゆく
目もしばしばと痛かったりする
わた ....
やさしく育った飴玉は
きみの笑顔に似てました
薄ぼんやりのはっかの味に
はらりはらりと花が舞う
いつも支えてくれたその先に
きみの言葉がありました
これでわたしは生きていける
そんな ....
あいという
あめだまをなめました
なんだかくすぐったくて
とけていくのは
じぶんのほうじゃないかって
ふあんになったので
はきだしました
すこし
こわかった
いぬは
....
何も無いのなら
僕自身 ここにいるのだと
そして流されていく そして
何かですらも なくなって そうして
ここにいるのだと 僕自身
何かですら なかった
ふと目を上げると向かい側には同い年くらいのひと
高尾山にでも登るのかいかにもって雰囲気で
ひと待ち顔でおしゃれなデイパックを開けたり閉めたり
わたしと言えばパン教室のお友達を待っていて
忘 ....
人生はゲームだ
このステージに産まれた瞬間に
ゲームはスタートする
プレイヤーは自分自身を操作して
攻略を開始する
プレイヤーによってエンディグはバラバラ
けして同 ....
残り少ない飴を手に取り
それを口の中に運んだ
昔々の魔法が使えた頃の日々は
それはそれは楽しそうだな
軽快なケルト音楽に合わせて
何処までも蒼い草原を杖片手に歩いた
....
カラカラ…
何かが音をたてて崩れてく
その音は 限界を告げる音
カラカラ…
少しずつ 少しずつ崩れてく
その音は 終わりを告げる音
そして
僕は全てを失う
僕は コワレ ....
昼間の明るさを好まないあなたと
夜の道を歩く
寒いねと差し出す珈琲の缶より
つなぐ指からあなたの温もり
あなたはグレーのマフラーがよく似合う
そうやって顔をうずめて
表情を ....
「しーっ」
声をひそめた
二人の小さな世界は
好奇心とドキドキで
光を放つ
幼い横顔の天使は
森の奥に住んでいて
いつか来る
ヘンゼルとグレーテルを
お菓子の家で待っているの
....
秋のひかりが青く透けている
夜の名残か虫の音がしている
どこか遠くで冷やされた風が
くすぐるように頬をかすめた
日曜の朝は自室に引きこもる
朝刊は長ぐそで読んでしまったから
買っていた何 ....
君の心はシャボン玉のように
フワフワ飛んでは パチンと消える
僕が君を守ろうと
そっとのばした この手のひらで
君の心を壊してしまう
どんな優しく包もうと
パチンと消える 虹色の ....
右手には紺のカバン
僕の大事な持ち物を
詰めていつも持ち歩く
左手には君の手
僕の大切な人の命を
握りながら練り歩く
気温は徐々に下がり
町に雨が降ってくる
左手は傘に変わり
....
話しかけたいというのか 声をかけたいというのか 何て言うのか とにかく 名前を呼びたいのです 別にこれといった用事がある訳でもなく どうしても 言わなければならないことや 是が非でも 聞いておかなけれ ....
過去の自分に 縛られて
身動き出来ない 時もある
過去の自分を 消したくて
嘘を重ねた 時もある
過去の自分が 虚しくて
殻に籠った 時もある
そんな過去でも 僕 ....
開けてしまった
くるしい
蓄積したさまざまな理不尽は
皮膚の表面から放出されることなく反射する
何度も
何度も
尾鰭が付いて膨らんでいく
出口を忘れてしまう
体内を回り続ける
....
信じていたことは
鉄のかたまりで
不要になっても
手放せない
高熱で溶かしてみる
自分がダメになりそうになる
だから途中でやめる
ただ眩しかったことは覚えている
少しだけ変形し ....
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