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何もない所に
一つのドアと
見知らぬ場所へ昇ってゆく
階段があった
昔見た夢で
ドアの向こうの階段に
どう抗っても行けない所で
ぱっと目が覚めたが
僕はこれまでの生の歩みで ....
君がつくってくれた朝食の
おかゆを食べ終え
茶碗の運ばれた、広い食卓に
何とはなしに手を置けば
木目に残る余熱は
一つのぬくもりのように
指から皮膚へ
皮膚から体内へ ....
朝の浜辺を散歩する
夏休みの終わりに
金髪の青年が2人、遊び疲れて
またを開いてぐっすり寝ていた
ある意味遊ぶということは
若人の仕事でもあり
大人と言われる{ルビ年齢 ....
新しい職場の老人ホームで
初めて司会のマイクを持った日
お年寄りの皆さんに
塗り絵用の色鉛筆を渡した
十二色の鉛筆の先っぽは
どれもきれいに尖っていたので
今日は鉛筆削りの ....
あわてんぼうの君は
いつも夜の電灯のつまみを
捻り過ぎては、外してしまう
何事も、焦ってやると
つくはずの明かりも消えてしまうから
電灯のつまみは、ゆっくり廻そう。
....
ふと見下ろした煉瓦の上に
蝸牛の子供が一匹
二本の細い触角で
何かを探るように、這っている
少しの間、僕は思いに耽り
ふたたび見下ろした
小さい渦巻はさっきより
確かに ....