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ふたり歩む小径にも
ふたりくぐるアーチにも
薔薇たちは咲き誇り 香りはあふれ
胸の想いも 互いの声音や眼差しも
薔薇の魔法を帯びて かなしいほど甘やかに染まり
この園がいっそ迷宮と化せばいい ....
左手の五本の指から
毛細血管が夜空へと伸びはじめ
またたく間に
満月に絡みつきました
そして葉のない蔓草のように
月の表面を覆い尽くし
月光に透かされて
赤く綺麗に見えました
まも ....
光と闇の彫り深い
夏という宝石が
今 此の世の中心に在って
静かに廻転しつづけている
揮発する夏の底で
胸が かなしみに沁みてゆく
青と白と銀の空
見あげても見あげても
{ルビ眩=まばゆ}さは
かなしみの純度を高めるばかり
向日葵のあざやかさが目を
降りしきる蝉の声が ....