すべてのおすすめ
ある寒い朝雑木林を歩いていると
桃色の温もりがありそうな耳が一つ落ちていた
自分の耳じゃなかろうかと
両手でそれぞれ触ると
ぽろりぽろりと落ちてしまった
あれれこれはいかんぞとすばやく手 ....
部屋で寝転がり
凹凸のある真白い壁紙をじぃっと眺めていたら
いてもたってもいられなくなり
クレヨン屋さんに走る
奥行きの広い店内には何百色ものクレヨンが
一色ずつ一本ずつ
天井まで透明 ....
無農薬だからと皮まで食べれるよと
レモンをひと齧り
皮は甘く果肉は突き抜けるような酸っぱさだ
こめかみの奥に木漏れ日がちらつく
でもやめられず懲りずに齧り続けていくと
急 ....
これはいつの面影だろうか
胸にぽかりとあいた穴は
形を変えいつかの面影となって
おぼろげに映す
ぼんやりと映った影は
飼っていた猫の日向ぼっこの面影のような
よくブロック塀の上で気 ....
幻 こぼれる 氷菓子 かけ足で
遠雷 蘇り 青い穂 すいっちょん
夕闇 墨汁 音もない 匂いだけの
風鈴 甘い月 おくれ毛 うちわで
さようなら
最近自分の影を投げ捨てる人が多いと聞きます
一度投げたら最後、もう死ぬまで影はなくなるそうです
自分の体全体がぺりぺりかさぶたをとるような感覚であり
それはもう快感を越えたものである ....