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罪状を忘れてしまったが私は禁固6720時間の刑期を勤めていた。生暖かくぬるぬるとした液槽に浸り、なるべく身を小さく丸めている。不思議なことにはじめ広々としていたこの部屋が、時間が経つに連れだんだんと ....
水深五千メートルの深海
あたしの心は沈んだまま
光の届かないそこを
闊歩する。
太陽光の届かないそこでは
光合成を
できなくなった植物が
みどり色するのを
やめた。 ....
昨日が、夜の中で解体されていく
肉体だけを、濡れた風がばらばらにして
過ぎ去り、それでもまだ鼓動は 宿る
わたしが必要としているものは
わたしの内部の、底辺にあって
....
スンスンスン
リムリムリム
ばすばすばす
ヌカヌカヌカ
ンんンんンん
ピらピらピら
だこだこだこ
ピキリピキリピキリ
ふばばふばばふばば
のろのろのろのろ
タタタタタタ
....
あお を群にして わたし に忍びこんでくる
あさ を潰して 広がっていく
わたし は地べたに吸い込まれていく
そうして 土になって
寝転んだ 土のわたし
あな ....
刻一刻、過ぎ行くとき、
諦めの吐息を吐く。
鮮やかな、滲むような
赤色のセーターを見つめる。
あの飴色の日々を
脳裏に蘇らす。
戻ることはできない。
もはや空白のページを繰る ....
ひたいにてをおき
とおくにできたコーヒーのしみをみつめる
はんぷくするピアノのせんりつに
きれきざませた{ルビときどき=ヽヽヽヽ}をおもう
ちれぢれになって{ルビしへん=ヽヽヽ}には
....
{引用=
生きていることの意味を問いなが
ら、生きそして死んでゆく。それ
が解らないまま、ある朝のベッド
のなかで、遠くで船出する警笛を
きく夜に。
....