カレンダーを
これから旅立つ友だちにもらって
廊下にかけた
それは
ラウンジの一人がけのソファに座ると
真正面にあって
ふとスマホから目を離したりすると
かつては真っ白な壁だったところに ....
休日だから
チュッパチャップスはくわえたまんま
外はきれかけのボールペンみたいな
ぷつぷつとぎれる雨がふる
エンジン炊きたてだったから
中はまだしばらくはだざむいね



いつのま ....
1.

朝、ベランダで
立ちんぼのまま夜をすする

まだこーんとした空を
盛りのついた飛行機が
西へ、西へといそいでいる

髪をかきあげる
色の抜けた毛先を透かしながら
42リッ ....


きみにあいたくなった

「きみってだれだよ」
「しらねぇよ」
「しなねぇのかよ」
「きみだよ」

きみのことが好きだった。

明日、晴れる保証なんてないのに
唇 ....
あまりにも刺さるのでそれを取り外す
風が強いのはいつものことで、それはとても痛いのです
こめかみあたりから、あるいは首の後ろから
小人が僕の邪魔をして視界という視界に落書きをした
 ....
天気予報によると午後から曇り、ところにより雨、らしい。傘を持っていくか一瞬迷ったのち、会社の置き傘を頼ることに決めた。階段をおりて、自転車に乗って、駅まで。いつもの道をペダルを漕いで進み、通学の児童は .... 雑なままでも書き残して思う。

詩を書き始めたのは2001年ごろだったかもしれない。
詩のサイトは最初に流れ着いた日本WEB詩人会。
そこで会員になって投稿していた。いいとこだった。
今書き ....
傘をお持ちください
と君が言うので
受け取る

さあ差せばいいじゃないか
と君が言うので
傘を開く

君は満足そうに傘の下に納まる。
祖母が水槽を洗っているので
どしたんと訊ねると
あんな
魚がようけ死んでるやろ
昨日も今日も
せやね
どうしたんやろね
せやからな
水槽洗てるねん
このグッピーくれはった中川さんがな ....
くだものまるごとのみこんだ
ひとくちめで水がうまれて
ふたくちめに街がうまれた
もうひとくちはいらない

だれかの世界にこぼれ落ち
やわらかい素足に踏みつぶされて
かたちを失って色は破裂 ....
 
 
アパートに似た生き物が
背中を掻いている
古い窓を開ければ子供の声が聞こえ
秋の風も入るようになった

父が死に
母が死に
君は僕と同じ籍にいたくないと言った
もう昔みたい ....
好きな人できてん
って、お前がゆうたとき、俺の心臓らへんかなぁ、もう少し下の方か奥の方か、なんやわからんけど、ズンッて、めっちゃ重たいもんが乗っかったっていうか、なんやろ、血の気が引いたって、正にあ ....
きみがイクときイったときイったいまを感じます、
ひどく硬い音のつるでした、まるで噛んだ噛んだまま、
やみくもな金属のいちぶになってしまいなさい、
ほそくおれて終わりになってしまいなさ ....


眠るってなんなの
とても
生きているとは思えないほどの平穏だろう
なにも知らなくてもわかる
静かなことはわかる



目を覚ますと
ありとあらゆる音が聞こえ始めて
驚き ....
横断し続けた川の端と端もちあげ上手に運ぶ 、となりへ


窓外に無数のつぶてが降る いつか海に沈んだ都市に住もうね


痛いかと自分に聞いてしまう夜 括弧のなかで息を整え


 ....
ストーカー並みに一語を摘み取って紡いでゆくよ夜が明けるまで


「じゃあ誰が世界の中心だと思う?」「大統領とかダライラマとか?」


正解は「時計を鏡に映しても時間は逆行しません」でし ....
まるごとわたし、なつごもり
こんな季節なので
あなたと顔を合わすのもおっくう

真っ盛りに教室漬け
教科書ノート参考書の順で
男子と女子が、かたちもなく
見えない上下運動をくりかえす ....
道ばたに金メダルが落ちていた
近くにはテレビも落ちていた
少し離れたところに
金メダリストも落ちていた

それらを拾って
交番にとどけると
お巡りさんがテレビを見ながら
感 ....
患者相談室の看護師さんは
物品を受け取らない
公立病院だからね
規則上も実際もそれは厳しく守られている

けれどあまりにもいつも何でもないことを
どうしようもないことを
よしなしごともあ ....
紫陽花の色が変わってゆく様を観察してるきみに言われて


カラコンをしている違うきみの目に映る無数の紫陽花の色


思い出す豪雨の海辺で見た脚と深い紫いろの紫陽花


六月の ....
十年後のことばかり
考えないで

今日のことを
考えよう

なぜそんな簡単なこと
できないんだろう

十年後にも
今日はあるのに
雨を洗う
プラチナの雨
光漬けになってゆくスリジエ
小さく開いた
指を結んで


単純な日々の曲線を
なぞった軌跡
映し出される度に
周りをやわらかくする


ロ ....
届かないところに百個呼び鈴が


対岸で家が燃えてる渡し守


トランプを男と女に分けなさい


食洗機生きてたものの音がする


豊胸手術する人魚姫二十歳


おじいさ ....
かしこい子はすばらしいと
うたうおとなたちの心理を
わたしはすりつぶして粉に
したところにたまごを入れ
ホットケーキを作りました。
とても、あまそうな山です
つぶしてみたってなにも、
仕 ....
少しずつ
季節が忘れてゆく花の
わたしを知って欲しかったんだ


きみの手を
ひいて歩いた十二月
他人同士であって それでも


雨の日に笑っていても
晴れの日に眠っていても
 ....
たよりない軸をつかんでわらってた 人工衛星みたいに遠くで



罵倒してもよかったんだよ ボディソープの淡い匂いのぬけがらを抱く



かみさまの代わりにネオンの消えた街へ ....
私たち逃走していた。かすりきずに錆びついたボディーは、夕日の射光に身包みをはがれ、匂いがするようなレモンの色にそまってしまい、塗装が晴れてしまった下地の部分の、心臓みたいな銀のフレームがばれて、わたし .... もさもさのイチョウを見ると思い出すビッグバードよ君は元気か


ぼくはもうはちねんまえにしにましてそのままずっとしんだままです


さらさらの砂を瞳にかけられたように溢れる星満ちる夜
 ....
コンビニとよぶには
なにもない

そんなところで
きみはうまれた

レジのおんな
たちよみしてるおとこ

ほかにはだれも
いなかった
{引用=
わたしらは雨の日には傘をさせばよかったんやと思う
のらりくらり運ばれよるうちに
ぜんぶの角がとれた小石みたいに
下流で山積みになってしもうたね
流れ星が流れたあとで願いごとするよう ....
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