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病院の待合室で順番を待つ
備え付けの椅子に座り
備え付けのテーブルに置かれた週刊誌を読む
言葉の意味はわからないけれど
挿絵などを見る限り
最近の出来事がなんとなくわかる
あれ ....
 
 
四十九日
冷たい雨が降っている

きっと
わたしが帰らないからだ

どれだけ
待っていたことだろう
わたしの帰りを
孫と一緒に暮らしたかった
日々を

待たずに父は ....
 
 
ひとつしかない
祖母の乳房を
ぼんやりと見ていた
そういうものなのだろう
と思っていた
幼かった私

手術したのだ
その晩
どれだけの悲しみに
打ちひしがれていただろう ....
 
 
きらきらと
光が降りている
あれは神さまが
写真を撮っているのだ
という話を
君としたかもしれない
木漏れ日の下で
あの日僕らは
どんな生き物の姿で
 ....
 
 
かつて人だったものたちの
声に耳を澄ましている

繰り返される
波の音は
そのようにも聞こえ

バスは子供たちを乗せ
茜色に染まりながら
海岸線を通り過ぎていく
 
 ....
 
 
この季節になると思い出します
行きも帰りもバスでした
山奥の芋煮会場に着くと
澄んだ風が吹いていました
肌が乾いてなつかしい気がしました
網目になった体を
すうすう吹き抜けてい ....
 
 
雨で薄められた絵の具で
空を描く
夏はまだ来ない

君もクレヨンで
空を塗りつぶす
それでも夏は
まだ来ない

夏が来ないから
母さんを探す旅に出る

灰色しかない ....
 
 
哲学の猫が
書物に足跡を残して
そこで終わってる

残されたページには
いつもの海と
青い空
さえ何もない

私は猫を探しに行く
足跡を残して
そこへ辿り着くまで
 ....
 
 
君の街の郵便局に
僕は辿り着いた
大きな荷物を背負って

配達したけれど
不在なので
僕はまだここにいる

早く届きたかった
産声をあげて
君に封を
切ってもらって
 ....
 
 
愛について考えると
わたしは道になっている

頭のてっぺんから
つま先まで
世界のあらゆる道になって
人々がわたしの上を歩いている

あなたが歩きだすのを
ずっと待ってい ....
 
 
蛇口をひねると
水の流れる音がして
母の声が聞こえる
何を言ってるのかわからないのに
それは声であることがわかる

蛇口をしめると
母の声は止む
雫が数滴零れると
泣いて ....
 
 
トランプ遊びしてる
息子とカルタで

きっと何か間違えてる
けれどもそれは
それで楽しい

ためしに
どっちが勝ってるの?
と息子に尋ねると
嬉しい
とだけ答える
 ....
 
まだ顔を知らない
姉からの手紙が届く
意識だけの

わたしはまだ
返事が書けない
体を持たないから

真夜中
母に触れたがる
父を感じる
わたしの命のはじまり

いくつ ....
 
なつこさんが代休をとった

気配だけ
そこに残して
どこにいってしまったのだろう

お昼ごろ
今日なつこさんは
お休みだったんだね
という人が
かならずひとりやふたりいる
 ....
夏嶋 真子さんの小川 葉さんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
光景- 小川 葉自由詩510-10-10
四十九日- 小川 葉自由詩510-9-23
祖母の乳房- 小川 葉自由詩510-6-30
木漏れ日カメラ- 小川 葉自由詩14*10-5-26
記憶の海から- 小川 葉自由詩809-12-30
いきかえり- 小川 葉自由詩1109-9-19
誕生日- 小川 葉自由詩309-8-2
自分哲学書- 小川 葉自由詩3*09-5-30
手紙の気持ち- 小川 葉自由詩209-5-15
ひらめき- 小川 葉自由詩509-5-10
母の涙- 小川 葉自由詩609-4-3
- 小川 葉自由詩809-3-25
意識の手紙- 小川 葉自由詩509-3-14
なつこの代休- 小川 葉自由詩9*09-2-10

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