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やさしさが
夢のかげになって
ぼくをとおりすぎた
にわか雨がふる
じき 夕暮になる
街がせわしなくなる
この時を忘れられないかもしれない
....
さびしいことを言ってくれ
秋の幕がひかれるころに
紅葉色のセーターに袖をとおして
氷雨の似合う 唇のような{ルビ瞳=め}をして
かなしくてたまらなくなることを言って ....
こんな寒い冬の日には
錆びかけた薬缶に水をいれて
ストーブのうえに置いておこう
けさ、空気はするどく冷たく尖っていた
鳥の声はぴんと張られた針金のようだ ....