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一面に垂れこめる月から
頬笑んだ顔が落ちてきて
ここには
僕をつなぎとめるものなんかない
つぎの船を渡って
みんなみんな行ってしまうよ
指をからませながら
だけど母さん
僕に世界をくれ ....
寝間着からもれてくる水のにおいが
夜をかけてゆく
つるつると甘皮をはぐ物音も
虫がしんと鳴くともう閉じてしまって
ぼくは波紋に収束する
ことばの様だ
電気じかけなのに
くらやみが本の ....
去年の8月
私に弟は居なくて
見なれない背中の同じ制服と
小さなヒイラギに似ていた
温かな水面に脈動する夜のはじめを
昂る夏がその都度握り潰し
ていくような予行
あなたが代わるがわる ....
新しいドライヤーだけれど
白くてやわらかい
両輪がふたつに割れる
夢に見たんだよ
耳の後ろの痛さを
口ばしる
側に
置いておいてくれる人の大切さで
判ろうとするのは
恥ずかし ....
皮膚の下に
いつも消えない断絶がある
電気が切れて、30分は
花嫁の
夢に用意した砂の中で
炎症している水を「見つけて
逃げてゆく
赤いキャップ、海の貝がら
いま此処には無い
心 ....
大きな音楽のくぼみに
海洋の裸体は何故有るのだろう、
ぼくといる
光る種は、美しいとは以前に
何て億劫で
すかすかに目詰まりした頭髪が
金星の毛玉を噛み込む、
これを着ては
もう外を ....
造作もない 踊り場の片隅
傾きかけたグランドの
後追いかげに
揺らめいていた、
差し向いの海霧を
見ていて下さい と
私、
永遠よりも
変わってしまう哀調で
音という音は隔され
....
失望のレストア
少しでも見たくない顔を見せて、
最後だけ巧く出来たって
きっとすぐに忘れてしまう
融解する手紙の背景が
何処にも流れない 鬱血を
撥ね揚げる、
残った者みなに愛されていた ....
延々回帰線をなぞって
大丈夫なのに、のどが咬めない
知らないの そう聞こえる、
逃げてきたセクターを端から閉ざされる
私が歩みを進めるほどに
故郷の地面まで
焦げてゆくのだと気が付く
( ....