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その靴は私の足にあわないので
履くたびに痛みが増しました

1日その靴を履かなかったら
少し痛みがやわらぎました

どうしても
その靴をはきたかったので
翌日は我慢して履きました

 ....
冷たい雨が降り続く
冷たい雨が
靴を濡らす
季節は落ち葉の底深く
沈むように眠りに落ちる
望みは断たれ
願いは口を噤む
もう金輪際
雨が降り止むことはない

濡れた落ち葉は断定す ....
たとえ
風化した夢の流砂に足を捕られ
概念の骸に
躓いても
滴る汗や粘る唾液
ではなく
目尻に薄く滲む涙に
遠く虹を映し
地の底に匿された
泉を探し
彷徨う一頭の駱駝が
貴方であ ....
身の程知らずとか
自惚れ
自己満足と言われることが
そんなにも
辛いので

君が背負ってきたのは
身を隠すための
大きくて重い
空っぽの自尊心

翔ぶことも
大洋に漕ぎだすこと ....
山形のだだちゃ豆をいただいた
採れたてを宅配便で送ってくれるので
翌日には届くそう
鮮度が落ちないうちに
すぐ茹でて食べてね
お裾分けするなら今日中に

すぐに小分けして
おつきあいの ....
心細さを擽る風が
お腹の底を吹いたかと思うと
今朝からは

おびただしい数の赤い蜻蛉が
突然現れたにしては
脅威的な確率の高さで
ペアを組み
次々に風を横ぎっていく
二匹ずつきちんと ....
私の長い名前を
思い出してください
雨が降り続く日に
倒された草花や
咲かずに腐る蕾の声が
聞こえた気がしたら

私の長い名前を
呟いてください
風が吹きやまぬ日に
ちぎれた花びら ....
ケイコさんは
帰る家を探している

いつか住んだことのある
川の傍の古い洋館
蔦が壁一面を覆った
赤いトタン屋根に
所々塗りの剥げた
白いバルコニー

夜になると屋根裏を鼠がはしり ....
蝉は喚いているのだろうか
虫に生まれたわが身を嘆き

いや むしろ
祈り続けているのだろうか
来世の至福を待ち望み
朝、昼、夜と、勤行を欠かさず
一心不乱に経文を唱えた
信心深い祖母の ....
並ぶつもりで
並んでいるのではないし

何億光年も離れた小さな星の住人が
語り伝えた
神話など知らぬ

集まって
輝いているように見えても
それぞれ
果てしなく遠い

線でつな ....
すごく綺麗な声がしたので
見上げると
すぐ近くの
電線にとまっていた
小首を傾げては
同じリズム
同じ音程
同じ歌詞で
繰り返し歌っている
私には
聞き取れなかった
何て言ってる ....
父の手をさする

硬く曲がったままの指を
一本ずつひろげ
滞ったものが
少しずつ流れていくように
強張ったものが
僅かにほぐれていくように

節くれだった
頑丈な父の手

鍬を ....
空は薄暗いのに
色とりどりの看板や
揺れる木々の葉を
濡れた舗道は律儀に映し出す

冷たく滲んだ風景画を
靴やタイヤが
踏んでいく

ブラインドの隙間から
見ている私の
雨の記憶 ....
今年友達になった人が
フウセン蔓の種をくれた
うちの庭に咲いたの
私が種を採ったのだから
春になったら撒いてねと言った

フウセン蔓の花というものを
私は見たことが無い
二十年も前に
 ....
引っ越した日から
時々庭に来ていることに
気づいていた

人になついているのかしら
窓から眺めながら
そんなふうに思った
出ていけば
きっと逃げるのだろうな

ある日、庭で草取りを ....
山の桜は満開でした
おとうさん桜だよ
見える?

父は眼を見開いて
悲しげに少し眉を寄せて
(眩しかったからかもしれない)
車いすの上で
桜をじっと見上げた

あー見てる見てる
 ....
白木蓮の花びらが
届かなかった手紙のように
散り落ちている

強い風の吹く
五月の日暮れ

咲いたばかりの桜が
ちりぢりに
遠くへ吹き飛ばされていく

行かないで・・

白木 ....
地上に引き出された私の網膜に
無数の矢が
容赦なく突き刺さる

モグラになって初めて知った
過剰な光は
漆黒の闇よりもさらに凶暴で
瞳を凝らす事を禁じ
見る事を私に許さない

視神 ....
三月のかた雪の上を歩いて
湖を行くと
半分水につかったまま
凍りついた樹の枝に
ふくろうがいた
ふくろうは目を閉じていたが
やがてゆっくり見開くと
私をみつめた

ひらべったい猫に似 ....
よく晴れた朝
新しい職場へ向かう
昨日の特訓で疲れているけど
今日も頑張れる
覚えなくてはならないことがありすぎて
頭がぱんぱんになる
あまり眠れなかったけど
ちょうどいい緊張感だ

 ....
寝てる間に僕は
バージョンアップされているらしい
知らないうちに新情報がインストールされている
過去と未来の脈絡もなく
誰かと入れ替わったことにも気づかず
昼夜を問わず
意識にのぼる暇もな ....
春が降り注ぐ
固くこわばった雪山に
冬の汚れをこびりつかせ

シャーベットに足を取られ
車が跳ね上げる泥水に
コートを汚され

春が降り注ぐ
微笑がこみあげる

春が降り注ぐ
 ....
夜の間に降った雪で
季節は逆戻り

誰かに投げた言葉の礫
今朝の気分は吹きすさぶ

更新された背景
鳥籠の中で
冷たくなっていたインコ

突然
マグカップの持ち手が&#25445 ....
女の幸せ
玉の輿
祖母から母へと受け継がれ
夢に描くは昔も今も
宮廷貴族のおこしいれ

こしもと 従者も引き連れて
合奏酒肴の花の饗宴
長持ち牛車
嫁入り道具も豪華絢爛

十二単 ....
都合の悪いことや
不快なことは
予め伏字にするという
配慮が
いつからかこの国では
行きとどいているので
よほど気をつけていなければ
事実は見えない
まして
事実を都合よく見誤ろうと ....
アナウンスが流れる

線路内に鹿が入り込んだため
列車は3分遅れて隣の駅を発車しました


その鹿はどうなったのだろう

寒いホームに
誰もが無言で
同じ方向をむいて並んでいる
 ....
語弊があるような言い回しは避けて
誤解を生むような表現は消して

本当に伝えたいことだけを

傷つけないように
耳を傾けてもらえるように

心を開いてもらえるように

気分を損ねな ....
笑われても
無視されても
ぽきぽき折れるばかりだった自尊心を
つっかい棒に
ただ適応することを
拒んだ


育っていけない子どもとして
倒れるために
長い間待った
ふるさとが沈む ....
それからも
春は繰り返す

ゆがむ 水の記憶の上に

橋 畦道 雑木林
学校 郵便局 診療所
ヤチブキ
エンレイソウ
カタクリ
エゾエンゴサク

プリズムのフレームに
予め切 ....
雪祭りで賑わう
地下街をあるいていた

柱の影から目の前に現れた人物が一瞬父かと思った
現実の父より
かなり若いし
実際の父は
病院のベッドで
寝たきりだと
すぐに気づいた

似 ....
nonyaさんのLucyさんおすすめリスト(104)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
新しい靴- Lucy自由詩17*14-10-12
冷たい三日月- Lucy自由詩12*14-10-5
あかい砂漠に- Lucy自由詩13*14-9-25
蝸牛- Lucy自由詩12*14-9-19
鮮度- Lucy自由詩17*14-9-1
アキアカネ- Lucy自由詩18*14-8-18
私の長い名前を- Lucy自由詩14*14-8-11
特急電車は警笛を鳴らし- Lucy自由詩12*14-8-9
夏の歌- Lucy自由詩17*14-8-7
プレセペM44- Lucy自由詩18*14-7-30
みたことない小鳥- Lucy自由詩13*14-7-24
父の手- Lucy自由詩22*14-6-17
長雨- Lucy自由詩17*14-6-13
ふうせんかずら- Lucy自由詩20*14-6-1
セキレイ- Lucy自由詩12*14-5-16
- Lucy自由詩15*14-5-12
白木蓮- Lucy自由詩16*14-5-5
点眼- Lucy自由詩20*14-4-16
ふくろう- Lucy自由詩20*14-4-2
バイオリンを弾く猫の絵のついたマグカップ- Lucy自由詩22*14-3-25
更新- Lucy自由詩11*14-3-24
春が降り注ぐ- Lucy自由詩17+*14-3-17
自覚- Lucy自由詩14*14-3-6
アンチ雛祭り- Lucy自由詩9+*14-3-3
配慮- Lucy自由詩24+*14-2-25
鹿- Lucy自由詩27*14-2-16
本当のこと- Lucy自由詩21*14-2-15
水の村__Ⅱ- Lucy自由詩8*14-2-13
水の村___Ⅰ- Lucy自由詩13*14-2-12
雪祭り- Lucy自由詩19*14-2-6

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