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うらがなしさに気が付けば
亡霊どもの行脚である
呆然とする私の元へと歩み寄ってきては
かと思いきや全くこちらをうかがうだけであったり
それは母親を探す子供のようで
亡霊よ 家に ....
美しき世界
ほたりと雫が落ちて、
地面につく前に消えてしまう。
それはまるで届かなかった対話のよう。
繋がりたくて、それでもぬぐった涙のよう。
私は長く病を患い、 ....
つまびく。
つまびく。
とおい音がする。
海辺の砂の、さらさらという音にも似ていて、
夕闇の中、季節外れの蝉が最期の力でうたう音にも似ていて、
それでい ....
ぼくとつ
一人のぼくとつを見た
五十手前のぼくとつは
頭を低く低く下げ
ただ芸を身に付けようと
足掻いておられたもくもくと
「芸を極めるか
家族を愛するか ....
かすみゆく
昭和という名の喫茶店
中には常連のサラリーマンと
マスターらしき初老の男
私はなぜか吸い寄せられるようにその喫茶店に入ってきたわけだが
本棚に詰まってる室生犀星 ....
夜霧に紛れる夜行列車
月は重く垂れこめる雲に食われて
都会を離れた田舎道を
車輪の音が規則正しく
突き進んでそしてキキイと嗤う
ここは動く島
誰にも止められない今は ....