すべてのおすすめ
雪についた風は 凍りの匂い
立ち上がって ひっかく
かわいてかたい ぽろぽろ
溶けながら指を食む
刻みつけられ 冷たさを
から から
頬から
押し付けて とどめる
残され ....
晴れた日 銀の洗濯棒は陽射しに熱され
光を宿し 立ち尽くしている
光を受けない所は 銀棒のまま
横にかけられた 渡し棒とまかれた鎖を支える
重しにはめこまれ 土の上に立つ洗濯棒
洗濯物が ....
降り続く雪に 何かあったのか
急に停電になる
夜の十時を回り 真っ暗
のはずだったが ほのかに明るい
雪明かりが 窓の外から輝いている
どこにもやりどころのない雪が
家の回りに山の ....
海を知らないのに 波のように
風に這われた雪が空中に駆け上がる
道路から 枝から 積もった雪の壁から
風の爪となり 冬の刃となり
波から眼をそらせば とらわれたハンドルが
凍る道に ....
苦しみが二つあるのもいいものだ
一つの事だけ 思いつめていられない
じっくり向き合ってもいられない
さあさあさあ
最大の苦しみにあうまで
練習しておこう
苦しみながら 生きる術
....
雪を水に入れると 水になるように
水は氷に 雪水はつららになるように
死ぬことも生まれることも生きることも
体を通るものの 変質なのだろうけれど
心は 消えても響く
共にと思う幻想に支えられ ....
小さなツリーに飾りつけ ケーキを食べて
プレゼントを期待して眠った子供の頃
夜中に聞こえてきたのは 言い争う声
弟達は眠っている 耳をすますと台所で
父と母が言いあっている
なんだろうと ....
吹雪く雪の中 飛ぶ白い羽音
ひき風 ひと飲み
とどろく 心臓の火
まつげに擦られる 粒氷
ひりひりと まっすぐに溶ける
荒れるな 空
痛めた体を 巣に眠らせるために
銀河吹雪 渦 ....
聴いた事のない曲が林檎畑に流れる
トロンボーンを演奏する甥の次の音楽会での曲
雨空だったので雨合羽を着て
林檎の まだ青い部分が日にあたるようにずらし
脚立にのぼって 葉をかきわけつつ
かた ....
湯気のゆーちゃん 御茶碗に腰かけ
はみだしたつま先で ほっぺにちょん
冷たかった 指も冷たかった
窓を閉めても 重ね着しても
ふとんかぶっても 冷たい
両手でおちゃわん握りしめた
....
うちこわしの時がきた
半径 ところどころ
直径 つきのわ くま
飲み込んだ夜 ゆれ
ツマンダ ページ 落ち
ふてくされて おひまなうぶ
せとものに つまようじ
焼かれていたよな
....
鎌を持ち稲を刈る
コンバインが入れるように
田んぼの四隅を 大きく刈る
いろんな形の田んぼ
とにかく 鎌で刈る
雨が降りそうなので
ブルーシートも 持って行く
雨にぬれたら 機械の中 ....
あおぐ うちわ
木漏れ日 舞い
ついばみ 鳴く 白い雲
腰掛けて 揺れる
飲み散らかした花びら
風爪 斬り 羽織る
草の夢 露の戸
繰り言 湿るサンダル
絡む炭酸 甘く 指に
....
重ね合わせた掌に のせる想いは煙り
ろうそくと線香の火に 日常が遮断される
目を閉じ 心の奥に目を落とすと
闇の中にかすかに
小さな子が 手を合わせている
幾人いるかは 暗くてみえない
....
ちりとりのゴミを玄関の外に捨てると
蝉が羽化に失敗して 転がっている
またか
この時期 たまに見る
壁によじ登っては 落ちる 蝉 とんぼ
ぐちゃぐちゃに柔らかくて 体に触れない
死 ....
とある宗教に誘われて断りました。
それで なんとなく宗教について考えています。
うちは 神棚と仏壇があり 毎朝 御水と御茶 ご飯などを
お供えして先祖を拝みます。実家も同じです。
嫁にきてから ....
赤い雲が青空に溶けていく
さなぎの上に 初めて羽をひろげる鬼ヤンマ
透明な四枚の羽と 複眼に陽が射す
洗濯ものを 外に干す
水辺の近くに立つ 銀の洗濯棒が光を集める
風波をかぶる池の石 ....
黒い木陰に巣くう羽根音
砕いた殻墓 添うて鳴く
まみれた草にのけられた
くちばしこもり 膝の上
はばたき とどまり うちふり さえずる
影に塗る 黄緑 黒 音は チチチッ
うま ....
車に乗り込むと会社に向かう
いつもの出勤時刻
晴れた朝は 陽ざしがまぶしい
光を避けて 道路を走る
段々と 車列がのびていく
大きな車も小さな車も車間距離は同じ
列のスピードに合わせて ....
雛は鳴いて 朝露流れる 雲白く
つたのからまる古木 陽が射し
巣穴からのぞく 黄緑の小鳥
アイビーの葉陰をすりぬけ
近くの木にとまる
尾をうちふり チチチッ
おはよう ナギ
....
台所の窓から見える
枝を切り落とされツタだらけになった
古く太い木に 小鳥が住み着いた
ツタのカーテンは巣穴を塞いで
子を守りやすいのか
ツタの中に入ってゆく
朝ご飯の支度をしながら ちら ....
瞑ればおちる 喉元の声
ずく で 散り急いだ未明
知られる事は 色づいてからでいい
浮いた草がひろげる風の扉
顔を覗かせては
あわててもどる 七色の瞳
危険な冒険の途中なの
それ ....
やっと時代がお前に追いついたな と
いなり寿司を食べながら旦那が言った
味がついていて パックに入ったまま
温めて ご飯をつめれば出来上がり
便利なものがあったよと
嬉々として食卓 ....
町では桜も散り 山すその我が家までの
道沿いに見える畑には 林檎や梨の花が咲き
雪溶けの遅かったこの地にも 緑の季節が流れ始めた
除雪機で雪をとばし なんとか建てたビニールハウスでも
稲の ....
ななめの線は おめめ
口が にっこり
点は よだれ
いや 指って事で
心 って
にっこりマークみたい
コンロの上に鍋があって
コトコトと
音 って
お料理しているみたい
....
通う眼差しに灯せない夜はない
瞑り日 損なわれた約束は
名を変えて ほどけつづける
折り返しみつめた指の先も
ひとつひとよ のばして重ねる
掌のまま さしだしても
届かないものに でも ....
割れて つまづいた障子紙の陽射しに
つけられる風 ことり ごとり
削りこまれた細工 ひろがる窓の内
ビンの底のガラス 集めた昼の鼓膜
ホコリ マ ミレ
柱の影絵に 散らかっていく
....
葉は寄り 毛の尾に嗅がれる
伏せる喉 痩せた土 はぎ
噛みすする 親不知
木の根に うずくまり
こごと と舐める
石の蜜
新聞紙の同じページに
震災への追悼が行われた事と
つい先日 襲撃された
日本大使館などの記事がのっている
犯人グループ 36人の死による鎮圧
犠牲者 11人 中に 民間人も含むらしい
....
ニュース画面に映る満開の桜
その下で 賑わう人々
東京は お花見なのに
防寒着を着て かわかした軍手を持つ
白い雪が降り続けるので 消しに行く
桜より 広く白い
積み上げられた雪の ....
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