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<護身術>
身欠けて身欠けてすり抜けた
怪我したときほど笑ってた。
<懇願>
漠然と死ね
私が記憶しないように。
<利口化の世代>
根性 ....
決まった道を 決まったように帰る
いなくてもいい自分
ならば 通らなくてもいい道
同じドアを今日も開ける
帰らなくてもいい家
ならば 置き去りの孤独
明日は何かいいことがあると ....
抜けた髪を拾い集めて
飲み干せもしないグラスを舐めている
あんなに昔好きだったスツールも
今は
あんなに昔好きだった本の墓場
指先であばらをなぞる
骨がある
皮が包む
あん ....
本当が聞きたい あるものなら今ここで
僕の有限と君の有限の間で 不滅があると信じた
ずっと笑って指差して来たものを 君とだったから信じた
いつかは土に帰る
無かったことになる
五十年 ....
<猶予>
今はまだ
そうこうしているうちに
未来も腐る。
<接触>
危ないですよ
始まってしまう。
<残照>
消えてしまうから
惜しまれるの ....
初めてのことを たくさん教えてくれたね
飽きっぽいのかなと思ったら 好きなものが多いだけだった
あんなに高いアンテナを 初めて見た
手に余るものを 大切にしようとして
ぽろぽろ指の隙間から ....
歩道橋の上で つまらなそうに
黒い帽子の ミスター・クロウ
放課後の 車行き交う上で
舌打ちもせずに 空を睨んでる
そこはまだ低いんだね
高く飛べることを知っているから
・
....
■街灯の下■
ずっとそこにいたのですか
ずっと一人でいたのですか
私は何度
あなたを通り過ぎてきたのですか。
■氷■
私の中には氷があって
子供のころからずっと ....
<肉食獣>
私があなたに耳にかみつくと
あなたは私の腕にかみつく
私があなたの眼にかみつくと
あなたは私の手のひらにかみつく
私が食い込むたびに
あなたは遠ざかっていく
....
■あなたの書いた文章を■
あなたの書いた文章を
手紙のように読み返す
その中に私がいないことを
気配のひとつもないことを
ついつい何度も確かめて
それでもついつい
もう一度だけ。
....
今すぐ粉々にしてくださいって
誰かにすがりつきたくなるときがあるよ
肩や腕や胸ではなくて
せいぜいひざの下にしがみつく
だって
怖いからね
優しい人が
自 ....
約束を守るふりをして
どこにも行かないふりをして
昨日と同じ笑顔を
明日も続けるふりをして
あなたの檻が
緩むところがただ見たかっただけで
私にしか見られないものが
きっとあると ....
オルゴールのガラスのふたを開けて
思ったよりも複雑な仕掛けは
一つづつ解いてみると
思ったよりも単純なつくりで
これでなぜあのような音楽が鳴るのかと
不思議さに夢中になった
わけのわか ....