*灯台
かすかにまだ
光っている
間違えたままの、
やさしい思い出
わたしの幸福な思い違いを
あなたは
そのままにしてしまったから
....
最初はそれなりに期待していた
散々魅力的な話を聞かされたから
小さな希望も胸の中で芽生えていた
だけど現実は思っていたより味気ない
大人だって思っていたより大人気ない
それは惰性で噛んで ....
先生
ボク帰って来ました
この教室に
円周角やら
関係代名詞やら
習った
この教室に
先生
あなた方が座っていた
デスクに
今
ボクが座っています
こんなにも
広かっ ....
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた
その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする
「みんな」
そして「わたしたち ....
記憶は夕暮れていく
真っ青に染まり
帰る場所って
これは祈り
12階のベランダから地上を見てる
ナターシャ
得体の知れないものが
あたし達の体の中にある
悪意
諦め
水
脂肪
....
突然放りこまれてしまった
病院の待合室にすわらされ
時計の針が無表情にすすむのを
昼メロのデジャ・ヴのようにながめる
「ママ ごめんね」
かすれた声の一言で
キミは幕開けを ....
「口さけ女」
{引用=
耳元まで、口が裂けて広がっている女性噂妖怪。
幅の広いマスクで口を隠しており、道行く男性に、「私、綺麗?」 と尋ねる。
答えた男性には、マスクをはずし、口を見せ付け ....
或る秋晴の杜にて
私は
訳無く零れ落つる滴を止め能はず
時同じうして「何故死は在るのか」
天を仰ぎ雲一つ無きを知る
其は其で好い。
死せる感覚に 五感を研ぎ澄ませ
森の音を ....
まだ
夜は
寒いので
海岸に落ちていた生乾きのコートを
拾って羽織った
シャツも落ちていたが濡れていて
靴も落ちていたがサイズが合わず
人間の男も落ちていたが
触るとぬらぬらし ....
*
優しく風が吹く、
僕はそれを背に受けて、走り出す、
追い風を受けながら
加速して行く
風を感じなくなる迄
加速して、
風と並んだら、
風を孕んだら、
今度は一気に、
向かい風を生み出す位に ....
雨が抑えている
気持ちにふたをして
重くのしかかるのは
度の強すぎる眼鏡のよう
咳こんだところで
深く吸ったところで
するのはただ、土のにおい
しみてゆくしみてゆく
こころもぬれて ....
祖母は絵に描いたような大阪人でした。商売が大好きで、勝気で、たまに口が悪くて、酒屋でしたからものすごく酒には強くて、花は大ぶりの派手なものが好きで、ついでにヒョウ柄も大好きで・・・そんな人でした ....
たとえば
お刺身を食べるとき
お箸じゃなくてスプーン
ちょっと一周走ってくるのに運動シューズじゃなくて下駄
私の隣で
昔の彼女との楽しかった思い出話を自慢気に話する私と付 ....
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