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白い波に足をひたして
海に走り込もうとするこどもをつかまえる

波に洗われる砂のうえ
何かの記念の石碑みたいに
ぽつんと残される丸い石

背の立たない輝く水に浮かび
ようやく息を継ぎな ....
背が高いとは限らなかったよ
ちいさいやつもいた

まあちいさいのもでかいのもばかだった
さわらなきゃいいのに火にさわるのはやつらだった
火傷したくなけりゃ
火からすこしだけ離れていたらすむ ....
怒らないと次に進めないので、怒ることにする。特に特定のもんに怒ってるわけではない。今はじめて怒ったわけでもない。あまりにも怒らないで我慢してたので、なんかもう滅茶苦茶に怒りたいのだ。ちょっと前のことだ .... どこの誰のせいで、とは言わないけど、つーか言えないけれど、私はこないだからだいぶおかんむりで、イライラしまくっている。イライラを吐き出さなくてもそれほど精神衛生を悪くするということはないけれど、少なく .... ためいきをつきたいところだが
煙草の煙を吐く
自嘲したいところだが
天井を仰いでみる
大きな家蜘蛛が
照明の近く動かずにいる

どこからか
中空に浮かぶ腕があらわれて
書き記すだろう ....
たかが女の髪ひとすぢ と
スウィフトは(そういえばドジソン先生も)
書いておられましたが

粉砕され漂白された木質繊維にさえ
人の思いこめられるものな ....
リスカする少女は
美しい海鼠を生むだろうか

海は流産ばかりしていて
今夜も凪いでいる
荒れる波の記憶はもはや遠い彼方
リスカする少女の腕は今夜も乾く

悲しい歌を名づけるもの悲しい行 ....
伊栖郡の話なら法月君に聞いた。◆ナニ伊栖郡は太平洋沿岸に位置する極当たり前の田舎であつて、とりたてて特徴が有る訳でない。只伊栖之湖という稍々大きめの塩水湖が一つあり、湖の周りには柞が沢山茂つてゐる。柞 .... ゆら、と、
闇の中で黒が動く気配、
みどりの光点がふたつ、
ケヤキの根元にうずくまる。

杖はニワトコの枝、
髪に飾るのはキツネノテブクロ、
はだかの胸に塗りたくる胎児の脂肪、
そんな ....
ホデリはぼんやりと海を眺める。
眺めたであろう。
初夏の風に荒れる海を。

この嵐の季節、
田には水が必要だというのに、
ホデリの水路は乾き ....
クソの上に座っちまったんだよ、
それで頭に来て、岩に隠れちまったんだよ。
豊葦原の{ルビ千五百秋=ち い ほ あき}の瑞穂の{ルビ地=くに}の、
お天道様は岩戸に隠れちまったんだとよ。

た ....
サンバのリズムで彼女は案内する、
タ、タ、タ、ターンタ、
広がるフレアスカートは真っ赤、
熱気のみなぎる裏通りは、
これでも充分には裏でないらしい。
粘っこいグリースの臭い、
不意に鼻をく ....
1.日没

私はラセンウジバエ(雌)である。
私には名前がない。
ラセンウジバエ(雌)の群の中から
私を識別し同定することは誰にもできない。

二枚の羽があやうくふるえる。
ホルモンは ....
闇に紛れてゆらり現れ。
夜だけ這い出る砂浜に見えぬ風紋。
太い蛇身にアンバランスな白い細首、
音も立てずに進む。

誰が姿を見たというか。
その身を見れば命はないというに。
赤いであろう ....
{画像=080307003733.jpg}

翼もないのに太陽に近づいたので
どこにも行けなくなってしまう
尾根伝いにやってきた
自分の足跡をふりかえる と
笑い出しそうな風が耳元でさわぐ ....
結局のところあなたについて書くほかはないのだ。
選択肢は常に目の前にぶらさがる。
埃だらけ蜘蛛の巣だらけのシャンデリアみたいに、
ぶらりぶらりと。
肝臓の色をした月に腎臓型の雲がつかみかかる。 ....
ミミズには裏表があって、裏側は表に比べてちょっと色白で、ミミズは裏を下にしてないと這うことができない。こういうのこそ無駄な知識というべきで、ミミズを実際に手にとってみたひとは知ってるだろうし、ミミズな .... 真夏の草いきれ。
立っているだけでじっとりと汗。
しかしこいつだけは
やけに涼しげだ。

やさしいみどりの草のうえ
冷たい泡で身体を覆って
まるで
クーラーの効いたワンルームの住人。
 ....
人間はいつもゴキブリの飛翔におののく。
りっぱな羽根があるんだから、
ゴキブリにしてみりゃ、
飛ぶのは当たり前なんだが。

ゴキブリ自体は、
単に飛びたいときに飛ぶ。
問題をややこしくす ....
北村 守通さんの佐々宝砂さんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
遊泳禁止区域- 佐々宝砂自由詩10*16-6-14
かわいいやつら- 佐々宝砂自由詩11*09-5-9
怒りたい。- 佐々宝砂散文(批評 ...608-9-17
今ここにある現実- 佐々宝砂散文(批評 ...18*08-9-17
預言かもしれない- 佐々宝砂自由詩308-9-15
たかが私の- 佐々宝砂自由詩508-6-24
海鼠の味- 佐々宝砂自由詩7*08-6-19
伊栖之湖周辺の伝説に就いて- 佐々宝砂散文(批評 ...4*08-6-15
あと何本- 佐々宝砂自由詩308-6-14
おぼ針、すす針、貧針、うる針- 佐々宝砂自由詩508-6-13
やおよろず- 佐々宝砂自由詩3*08-4-29
ネジ台通り- 佐々宝砂自由詩308-3-15
ラセンウジバエ(雌)の独白- 佐々宝砂自由詩1*08-3-13
濡女- 佐々宝砂自由詩408-3-12
闇もまた遠く- 佐々宝砂自由詩208-3-7
あなたについてのモノローグ- 佐々宝砂自由詩908-1-26
虫も殺さぬ- 佐々宝砂散文(批評 ...904-2-1
アワフキムシ(百蟲譜21)- 佐々宝砂自由詩4*04-1-28
ゴキブリ(百蟲譜18)- 佐々宝砂自由詩5*04-1-25

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