赤く染まる唇に 君は何をあげようか
鮮やかな髪で 顔を隠して
その笑みは僕以外 見せないで
揺れる瞳に映る 牙が眩しい
狼だって恋をする 愛を知る
束縛の熱に己を奪われる
その相手が君だっただけ
死ぬ ....
大きな水槽の中に入ってしまったのは、
久しぶりだった。


そこは、ゆらゆらうごめいていて、
別々の世界が水素と酸素を融合させている。


やさしみの泡は、その中をぷくぷくと
漂って ....
 
雪の上に寝そべりながら
ぼろぼろと落ちてくる雪を見ていると
それは錯覚なのだろうけれど
空をどこまでも昇ることができる

このまま
天国までいけるような気がして
目を瞑り
目を開 ....
  いまここにこうして
 「在ること」
  それが当たり前と ....
鳥取の冬雲が北風に迷っています
今日は大潮だというのに月が
複雑にからまっているのです

 私の言葉は上手でしょうか
 そんなことよりも伝えたいことの、
 たとえば月の輪郭を
 なぞる指 ....
重ねた足跡は
ガラス越しの瞳に
醜く映りましたか?

放せなかった冷たい手を
懐かしんではいけませんか?

見上げた空から降る雪
ずっと昔別々に見た白

続かなかった足跡でも
消 ....
およいでいる、ということに
気がついてしまうと
溺れはじめる


 わたしが
 わたしを忘れることも
 たいせつな息継ぎ

 うまれもった、すべ



音色、という文 ....
昼寝から覚める夕刻に
酷く冷たい床に身を縮めて
温い膝に唇を当てた

ふぅと
吐きだされた息は床の上
ずずずと
滑るようにあちら側へと
流れていくのが見えたから
私なんだか
一 ....
雨をひらいて いくつもの声のその中へ
飛び込んでいければいいと思った
軒下からしたたる雫が はねて、
とりとめない心に降りかかる
泣いているの、とたずねる人の
声がしたような気がして
振り ....
灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目


はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置 ....
 
僕から君へ
それは届かないかもしれないけれど

届いてしまったなら
ごめんなさい
僕は
それが届いてしまった
世界であやまってばかりいた

ねえ、おかあさん
ここはどこなんだ ....
君のことを描くたびに
ひとつずつ言葉を失っていった
すっかり軽くなった水彩箱には
たったひとつの「ありがとう」が
隅にこびりついて震えている

―――ありがとう。

それだけで ....
駆けて来る
駆けて来る
薄氷を割るように
静かなギャロップで
はるかの足並みで


銀のたてがみをひるがえし
地上へと駆けて来る
お前の目の中で火が燃えている
お前が見つめると
 ....
身のまわりの色彩が不思議と淡くなる夜
胸のうちに浮かぶ
いくつかの
花の名

鍵盤をやわらかに歌わせる指たちの幻

夢のうちを
あるいは予感のうちを
あえかにかすめていった 星のよう ....
せせらぎは 
言葉を濁すことを知らない

そこはかとない波のゆらめきに
疲れた手を浸し 剥がれてしまいそうな
うろこか言葉かわからないようなものを
さらさら、と流し
そして しぐさを落と ....
月を遠ざけるものを捜して
迷い込んだ森

薄紙で封印された
わたしを引き裂いて
生まれてくるものがある
皮膚がわたしを押さえつけていた
だから、だ

破りとられて流し続ける
温かい ....
分からないことが
きみの
口に
つめこめれて、むきだしにされた
まま、きみは運ばれていった、

夜には、
わたしの口に、きみの死が
押し込められて、
何もできないということの ....
(1)

明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ



机の上に散乱する単語帳
角が折れてめくれてゆく
覚えることと忘れないこ ....
それは
見覚えのある目
はっきりとは覚えておらず
覚えておけるはずもなく
覚えておいては
いけない
気もする



或いはそれは
鳴りやまない声
 欲しがるように
 さげ ....
 *灯台

   かすかにまだ
   光っている
   間違えたままの、
   やさしい思い出
   わたしの幸福な思い違いを
   あなたは
   そのままにしてしまったから
 ....
とおいとおいむかしから
ほしぞらの中に
ぼくたちは住んでいて

三年にいちど
地上へ水を飲みに降りる時は
ロープを一本垂らし
それを垂直に降り
まる三日間かけて
水場に到着する

 ....
さようならの準備を
あなたがいなくなって 私がいなくなって
おそらくそこに愛は残らないでしょう
さようならの準備を
怖がりはしません 前から知っていたから
幸せな日々と 永久のさようなら ....
握り締めたのは 
あの日の青
解いたのは
いつかの夕焼け

ねぇ 
時さえ許せば
気の遠くなるあの日まで
歩いてだって行ける

朝が来て 
夜が来る
不変の真実ばかりを
抱き ....
ノートに書いた文字が
はしから消えてゆくのと
あなたは不思議そうに
ペンを見つめていました

言葉がかわいそうだから
もうこれ以上は言わないのと
あなたはすっかり黙って
消えた文字を追 ....
りっしんべんに 新字体の
柔らかくなる きみのかたち
なぞらえる 次ぎにくる列車の電報

ドタンド タン カッタカッタカッタ ア ゴー 

コウヒイの煙 たちのぼる屋根
スウ ....
君を傷つけたくなかったんじゃない

傷ついた君を見て
自分が傷つくのが怖かったんだ

君を傷つけたくないからと
自分に言い聞かせては

君に伝えたかった一言を
どれだけ置き去りにし ....
静脈を流れていった
幾度かの夏がありまして
網膜に棲みついた
((ただそれだけの))海があります

無人の駅舎―――ああ、思い返せば
入り口でした この仕掛け絵本の


 ....
{引用=ただいま}
毎年の
「ただいま」
が年々ぎこちなくなってゆくのを
自分で感じているのに


{引用=おかえりなさい}
あなたの
「おかえりなさい」
は年々なじんで
小川の ....
夕暮れ、薔薇は香っていた
まだ残る夕光の中で
私は花びらをそっとむしりとる
指先がいとしくて
何かを待ちわびて


ふっと夏の透き通る波が
心に押し寄せて来て足先を濡らし
すべてを呑 ....
水島芳野さんのおすすめリスト(141)
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