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さざなみは 群れをなし
幾人かは 手をつないでおります
光が噴水を照らし
さざなみは一気に羽ばたき
けれども
いくつかの水泡は遅れて真珠の旗を振り
あの辺りでは
協力して大き ....
ゆら
ゆら 男が現れ くしゃみする
丸くなる背中 男 ひとり
ゆら ネクタイが 飛ぶ
男 引き上げられる 皮靴
会社へ 行きたくないと
取り払う 背広 ゆら 名刺
雲雀の羽 離れ ....
けっして 関わってはいけない
猫の葉で覆われた扉は
口が半開き
あの扉の向こうには
きっと ばけもの が
うじゃうじゃ いて
ひどい言葉をあびせたり
かなしいことや 暴力にも
う ....
[水道管は、壊れています。前の駅を発車しました。]
水圧で 蛇口が外れそうになってるじゃないか!
こりゃいかん、いかんぞっ
「垂直に、屋上より、103号室まで
特急 ミズカモ ....
ぞうきんは古いのを
うんと搾れば
ぽろりとイヤリングがこぼれ
枯草の下で温泉につかっている土を
にぎりしめれば
ゆでたまごが硫黄の赤ん坊を抱えてでてきた
しとしと溢れる露を
石に ....
おいかけてゆきたいのです。
包丁でざくりと切ると、すぐ後ろでネギがぱらぱらと広がるように
ざくりの跡をぱらぱらと追いかけてゆきたいのです。
続けたいのです。
にんじんをする ....
:うっかりおとした粗塩
:お砂糖小さじ一杯
:醤油大さじ三杯
:みりんキャップ一杯
それぞれ玄関にならべて一晩ねかせます
羽虫やアリが運びます そして よくわからない虫も
お ....
こぽこぽこぼれる 透明なグラスに
わたしが点滅するというのは
こういうとき なのだろうか
あふれる濃縮還元ジュースは
せつなくて
地下鉄の降り口をまちがえた
まちがったとわかっても
....
輪郭の街が
徐々に織りをなし
時計はだらりと腕をさげ
ほぅい ほぅい と歌う
海にでると
肌がちりちりと
焼ける心地よさが
足跡にたまって
潮に吹かれた
8mmフィルムが
からくり ....
たくわんの淵は よれよれしてて
噛むとカリコリやのに
今日のはまた特に
薄っぺらくて よれよれ
あたり前やけど まんまるやないし
たくわん なんで よれよれなん?
なんで もっと しっ ....
干し竿に捉まったやかんが
風をすいこんで
ふるりゆれ
蓋はいつの頃にも
なかったようす
雲が影って
うつむき
口をぶらぶらしているやかんには
少し水が入っていて
のぞく顔を ....
王麗の木箱から
はみでた毛糸は
そろりと巻くか
するりと着てしまうには
あまりにも遠く
フランソワの無邪気に
毛が纏わり
駆けてく山羊の
背にもう一度
ふれようと
毛糸に手を通す ....
おつきさんのえだが
するするおりて
わたしのかみを
もてあそぶ
おつきさんのこえは
ほつほつしてて
わすれたころに
きこえてくる
おつきさんのはっぱ
やわっこくって
....
貯金箱のサルには
わからなかった
食っては出し
出しては食っても
狼色のコインばかり消化不猟で
胆のうにヒシヒシと溜まっては
廊下に流れてゆく
遠くそびえる針の穴にまつわって
おじ ....
凍えるようなフランスパンに
アプリコットジャムの毛布
パチパチと弾ける
ガーリックバターのシャッポ
クリームスープに浸しては 寒さを癒した
季節
家庭教師の家には いつも
ライ麦パン ....
洋なし色に 辺りが包まれ
萩焼のカップには
チャイの印香が漂う中
窓辺からは
いつもと同じ風景
いや 今日は
こんもりと茂る葉の代わりに
樹木には 綿雲の実がなり
成熟したそれは
....
ココアの缶をチロッと舐め
「おいしくない。」 と
首を傾げる君 おめでとう
風船に鼻を押しあて
あらゆる角度からのぞき
「なにも入っていない。」 と
泣き出す君 おめでとう
布団 ....
すりへった石鹸が
ひら ひら と
拍手の渦に埋もれてゆく
ビニールホースに合わせ
こぼれるシャンソンの音色は
か ぼ そく とぎれとぎれに
五線から はみでる
酔いしれるうちに ....
青い目のカモメが鳴く
口をこぅと飽けて
喉を震わせず
声もたてず
静かに
海の音を拾い
岸壁にならぶポプラを
透きとおった舌液に映し
カモメは鳴く
初めて砂をにぎった足の感 ....
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