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まつげの先にくっついているのは
きっと、全てからこぼれたひとかけら


布団からはみ出た指先の冷たさに驚く
そういえば昨夜見ていたニュース番組で
朝夕の冷え込みに注意しましょう
とか何と ....
それから、わたしたちは
たわいもない話をした
例えば
太陽熱の行方であったり
入道雲の裏側についてだったり
陽炎みたいな
曖昧な、話ばかり選んで


窓から顔は出さない
直線的に切 ....
耳たぶがかさかさすると思ったら
どうやら蟻が一匹のぼってきてたらしい
上半身だけゆっくりと身体を起こす
よく伸びた夏草が足を覆いかけている


さっきまであおいろばかりだった空に
いつの ....
昨夜の雨でまだ湿っているアスファルトは
打って変わった今朝の強い日差しを吸い込み
ジーンズに包まれた足元からじわじわとあたためる


今朝は目玉焼きを二つ作った
フライパンを火にかけて卵を ....
噛み付いた歯の先から、刺激


微笑みの国タイランド
とにかくひどく蒸し暑くて
立っているだけで背中を汗がつたう
ホテルの側で借りた自転車には
鹿児島県の防犯登録証が張り付いていた

 ....
いくら考えてみたって、それは
途方もなく大きな壁だし
やっぱり誰かの覗き穴なのだ


漏れてる光は淡くて黄色くて
きっと幸福を形にしたものなんだけど
爪あとに似た影も見えるね
だからき ....
自転車で


それは
全身がうす桃色に塗られており
まるで幸せを知った少女みたいだった
現実に乗っているものとは違い
錆なんてどこにも見当たらなかったし
ペダルはきいきいと不快な音 ....
母が愛用していた足踏みミシンは
居間の隅っこを定位置にしていた
毎日使っていたわけではないが
学校で雑巾を持って来いなんて言われると
その夜はかたかたと音を立てていた


ミシンは
物 ....
昨夜の雨を吸った落ち葉はぶよぶよと柔らかくなり
いくら踏みしめても何の音も鳴らさなかった
足跡さえも吸収してしまいそうな弾力は
寒さを忘れそうなほどの優しさで失望を覚える


冬はいつだっ ....
緩やかな上り坂を自転車で走ること十五分
月極駐輪場から歩いて五分
駅に着いたときにはいつだって息が上がっている


通学に使用していた路面電車は
この辺りの住民にとって大切な移動手段
そ ....
朝一番に窓を開けると真っ白に吹雪いていた
時が流れるにつれて徐々に雨へと変化して
暮れる頃にはそれさえもあがっていた


駅の改札を抜けて家路につく
空には呑気に星がちらついていて
コー ....
■罫線

歩くことなんか出来ないってわかっていても
真っ直ぐに続く道を知りたかった
言葉はあまりにも無防備すぎて崩れそうで
その柔らかさを利用して思い切り固くした


発しては、ほろほ ....
熱帯夜みたいなきみの瞳はもの悲しくて
ひとつぶの砂も巻き上げることはなかった
湿らせたのはほんのわずかな空間だけで
振り返った背中の先には象のおりと高らかな歓声


きみのその長い首を支え ....
ひと気もまばらな公園で
湿った土の上に落ちた椿の花は
どこか心細げにこちらを見ていた
ささくれたこの景色には眩しすぎるので
その紅色を熱でとろとろに溶かして
指ですくいとりたいと思っていた
 ....
こぼれたミルクは飾りボタンの溝を泳いで
くるくると光を跳ね返していた
いつまでたっても混ざり合うことはなく
胸を埋めるような匂いが辺りに漂い
大気ばかりが乳白色に濁っていた


窓の向こ ....
握り締めることなんて出来ないってわかってるのに
風に翻弄されて舞い落ちる粉雪をつかまえて
その結晶を手のひらに刻み付けたいと思った


この冬最初に降る雪を見たのは
帰省先である少し北の街 ....
そのうち通り過ぎるだろう
ほんの気まぐれな天気雨


一面の田んぼだったこの辺りは
ほんの少しの間に住宅街になった
たくさんの家が整然と並べられ
目線を上に持っていけば
規則的に並ぶ青 ....
駄菓子屋の側に置かれた自動販売機は
存在を知ったときからもうおんぼろで
お金を入れてボタンを押しても
蹴っても叩いても何も出てこなかった


お店を切り盛りしていた女主人は
存在を知った ....
小学校四年生くらいの頃だっただろうか
クラスで紙飛行機が大ブームになった
授業が終わると男の子は一斉に折り紙を取り出し
思い思いの折り方で様々な形の飛行機を作り
外に飛ばすと先生に叱られるので ....
木枯らしがからからと乾いた音を立てる
あらゆるものの輪郭がくっきりと描かれ
移り変わる季節への感傷に浸りたいのに
冷えた手は無意識のうちに摩擦を起こし
細胞の根元から発信される欲求を満たそうと ....
樹齢いくつとかわからないけれど
ぼくより長く生きていることは間違いない
その身体のあちこちは皮をはがされ
表面に色の濃淡を作り出している


そんな老木のたくさんある枝のたった一本に
か ....
冷たくなってきた風に漂って
きみは何処を向いているのですか


田んぼの脇に咲くススキ
あでやかな花に囲まれて
色づく葉っぱに包まれて
それでも自らの身体を染めることはなく


華 ....
探しているものは案外そばにあって
あちこちひっくり返したりしてるその手の
袖口に引っかかっていたりする


最後にきみを見たのはいつだったか
霧がかかったみたいにぼんやりとしているけれど
 ....
雨上がりの濡れた空気に
しっとり染み込む芳香は
垣根の向こうの金木犀


乾き始めたアスファルトに
規則正しくむちを打つのは
子どもが回す赤いなわとび


吸い込みすぎて重たくなっ ....
夜の散歩中に迷い込んだ名も知らない小さな神社は
まちあかりも遮ってしまう茂みに覆われている


自他共に認めるリアリストのわたしでも
物の怪の姿を探してしまいそうになり
風で葉がこすれるか ....
うちから少し歩いたところに住宅街があった
大通りから出る七本の細い道で構成されており
それぞれの道には一号通りから七号通りまで
安直な名前が付けられていた


小学校に上がって通い始めた書 ....
わたしたち、結婚しました
うす桃色の踊るような文字と
着物姿で微笑みあう男女の写真


はがきを持つ指の腹から
じわりじわりとあったかさが
組織の中まで浸透してくる
温度の正体をはっき ....
熱い光はただ重なって
そっと重ねられて


渋滞した道でせわしなく鳴るクラクションも
軽やかに散歩する犬の太くて短い声も
光に飲み込まれてかき混ぜられて
珈琲に落としたミルクみたいにぐる ....
泡粒の数だけ思い出があり
からからからと音がする


競走はいつでもいちばん最後
ひとあし遅れて着いた小さな菓子屋で
真っ先に選ぶのは瓶入りのラムネ


にじみだす汗を乱暴にぬぐい
 ....
あんなに耳障りだった蝉の声も
虫眼鏡で集めたみたいな痛い陽射しも
まるで色あせ始めた遠い物語


なだらかな坂道を自転車でおりると
向かい風がほんのわずかの後れ毛を揺らす
時折小石が顔を ....
kauzakさんのあ。さんおすすめリスト(68)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
きみの、ひとかけら- あ。自由詩17*12-1-5
休息- あ。自由詩6*11-8-12
ぼんやり- あ。自由詩10*10-9-30
夏を蒸らす、わたしの- あ。自由詩8*10-7-8
空色の損、ソーダ水- あ。自由詩14+*10-6-3
ひみつ- あ。自由詩15*10-3-30
夢でぼくは、旅人だった- あ。自由詩12*10-3-5
ミシン- あ。自由詩8*10-3-1
帳尻を、合わせる- あ。自由詩21*10-2-22
路面電車- あ。自由詩12*10-2-16
水たまりには世界が写っている- あ。自由詩25*10-2-8
ノートのおと- あ。自由詩12+*10-2-1
きりんの首の骨- あ。自由詩9*10-1-25
おんな椿- あ。自由詩11*10-1-13
白く濁った世界- あ。自由詩16*10-1-6
この冬最初に雪を見たのは新年だった- あ。自由詩15*10-1-1
美しく積み上がった世界の中で- あ。自由詩9*09-12-17
駄菓子屋のソネット- あ。自由詩14*09-12-8
並木道に舞う飛行機- あ。自由詩10*09-11-30
木枯らしがぼくを飛ばしていった- あ。自由詩14*09-11-16
結び目- あ。自由詩19*09-11-10
きみはほうき星の足跡- あ。自由詩27*09-11-4
秋桜は大人になってゆく- あ。自由詩15*09-10-29
芳香- あ。自由詩22*09-10-17
リアリストと月- あ。自由詩14*09-9-29
いちご通りの話をしよう- あ。自由詩15*09-9-25
ハレルヤ- あ。自由詩21*09-9-16
初秋、夕暮れに- あ。自由詩20*09-9-9
ラムネ- あ。自由詩13*09-8-31
夏休み- あ。自由詩22*09-8-26

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