すべてのおすすめ
洗いすぎて
ごわりとした
ネルの小さなパジャマ
ふたつめのボタンだけ
なぜか赤い糸で
不器用にくくられている
夜泣きのたびに
私にしがみついた
熱を帯びた袖
黄色いライオンの模様
....
こんな日は
決まって風が泣く
弔いはもう済ませたというのに
細い通路に
冬という冬が
我もわれもと押し寄せて
ひゅうう ひゅううと
うなるのだ
夢遊病者のように
あの音を ....
最後の猫が死んだ
冬の夜に
耐え切れなかったのだ
冬の孤独に
私は春の真似事をして紙吹雪でとむらう
おまえにみせてやりたかったよ
桜が舞う空を
せめてこの世の美しい絵空事を
....