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月の横さわりつづけるまぶたかな



まぼろしを捕らえ離さぬ冬の蜘蛛



どこまでも何も無い部屋ひびきゆく



おまえにはおまえの音叉つき刺さる
 ....
在る理由を失くした肌にくちづける



閉ざされた行方歯車ひらく雪



空白に圧され振り出し戻りゆく



夜を呑み冬に呑まれる罪業徒



 ....
{ルビ觱沸=ひつふつ}と二つの弦の震う海



とどめさす声はまなこに血は咽に



とどろきに手のひらかざし目をふせる



風は無 ....
左腕だけが鋏に火に触れる



指五本喰らうべくして音喰らう



月尽きて地に声低く骨の笛



水滴をはらうが如く己れ斬る



塩を越え空の辻 ....
降る棘や石の路咬む火花かな



午後の背を読み仮名のよにすぎる街



誰もみな狂わぬ日々に狂う雨



片足に片恋の針突き刺さる



 ....
空を鼓のように張り
鳥は屋根を踏み鳴らす
糖蜜の文字
光の名前


爪と半球
蛇行と水源
凍った川をすぎる雨
降る無音 降る無音


午後の光がゆっくり話す ....
道を焼き我を焼く笑み水たまり



つながりよ皮一枚の旋律よ



空ばかり人のかたちに閉じこめる



人が消え人のうただけ永らえる



未明に ....
幽霊は短い昼の闇に立つ


光にも灯にも痛みの降りそそぐ


紙ひとつ千切る間にもう字を忘れ


とどろきが光を越えて芽を撫でる


破壊しにでも破壊と ....
火の境い光の境い冬ひとつ


穂の奥の鉛の森ぞ燃えさかる


岐に至る言葉のすべて水を招ぶ   


にきにきと片手の光においけり


冬の背に失いしもの踊 ....
雨あがり風の履歴の騒がしさ



煙ゆく光を原に削る冬



ふたつ膝ふたつの光だきよせる



見えぬ背の見えぬ行方を描く鳥



器からしずく持ち去 ....
離れてもなお離れ得ぬ漠鬼かな



つむる目にひとつこぼれるななかまど



つむる目の光のなかを去りゆく背



己れから己れあふれる獅子頭



さ ....
埋もれた実つつく鳥の背ゆく四月



三月を折りたたむたび曇の声



吐息から吐息へわたる二月かな



ざらざらと白さ一月うたいけり



紅い背を ....
父去りて夏去りて今日ほどく紐



熱を捨て陽は降り急ぐ石の丘



涼やかな花には寄らぬ鳥と虫



触れるほど水はすばやく風深く



誰ぞ置く錆びし{ルビ ....
空あおぎ覗き込まれる月夜かな



くりかえし夜を描き足す爪の蒼



水に浮く石を踏む道帰り道



目の生えた指が私になじみゆく



耳だけが曇と ....
目のなかにちいさな音の遊ぶ夜



通りすぎまた通りすぎ唱は降る



手をかすめ消える笑みたち金のいろ



生と死を斜めに飾る毒の花



天と地の ....
目のかたち光ではない光かな



澄むことを望めば遠い光かな



澱み澄み澱み澄むこそ光かな



白ひとつ午後に置き去る光かな



めざめては ....
目を閉じた赤子の笑みに触れる花


ひとひらをくちうつしする涙かな


赤子の手何を語るや散る桜


とどまらぬ光の糸をたぐる花


名づけても名づけきれぬ日花 ....
こうやって部屋のなかから窓の外を見ていると、雨の中でしか生きられないけものになってしまったような気がする。穴ぐらのなかで、ひたすら雨を待つ。エサはあるのだが、自分のツメで獲物を引き .... ねむりたい頭のうえの冬蜜柑



渚なきからだ横たえ冬を聴く



白髪に月がふたつの冬夜空



斃れるはきさまだと知れ雪つぶて



おのれこそ ....
寝がえりの数だけ夢は裏がえる



またひとつ積もり重なる雪まなこ



煌々と言葉は眠りを遠去ける



見も知らぬ機械の生まれを語る夢



 ....
春の花ほつれゆくまま雨模様



現し世のなべて二重の涙かな



雨の舌双つの蝶を行き来する



手のなかに生まれ滅びる己かな



留めおく術も失くし ....
脱ぐときは背中から脱ぐ春近し


目薬のまばたき世界を巡りゆく


歯の奥の穴に詰め込む笑いかな


にやにやと胃がさげすむ日空は青


とどこおる想い手のひら解き ....
m.qyiさんの木立 悟さんおすすめリスト(22)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
緑応- 木立 悟俳句410-5-26
冬と業- 木立 悟俳句309-12-19
冬と震え- 木立 悟俳句209-10-30
冬に会え- 木立 悟俳句409-10-26
ふる_そそぐ- 木立 悟俳句209-10-13
イカロスの虹- 木立 悟自由詩409-10-12
業夜焦塵- 木立 悟俳句309-10-3
魔と刃物- 木立 悟俳句409-8-15
晩冬夜- 木立 悟俳句209-3-10
冬と子- 木立 悟俳句308-10-7
冬応- 木立 悟俳句907-1-11
ノート(二季)- 木立 悟俳句606-11-17
ノート(風にあれ)- 木立 悟俳句9*06-10-18
帰り道- 木立 悟俳句406-10-9
宝石夜- 木立 悟俳句706-9-15
光かな- 木立 悟俳句506-6-20
花の国- 木立 悟俳句1406-5-7
雨(1986.8・4)- 木立 悟自由詩1206-3-2
冬とからだ- 木立 悟俳句805-11-22
眠り枯らして_- 木立 悟俳句805-11-3
花と涙- 木立 悟俳句1105-6-8
春のからだ- 木立 悟俳句805-4-21

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