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始めから、カップは空だったのだ。
ゆらゆらと天井から吊らされた裸電球にまとわりつく湯気は
確かにそこにあったけれど。
暗い部屋、何度も叫び、黙る、その、錯乱。
底なしに、女である ....
逆さまなだけでただ長い言葉が
ずっと居座って渋滞をつくる。
僕は何もできないので、何もしないでいた。
となりの席で寝ている花瓶は
今までに貯めこんだ愛を吐き出し、やがて枯れる ....
じいさんが縁側で苺を食べてた
ばあさんがスーパーで安く買ってきた苺を
安い苺は酸っぱいよ、って言いながら
じいさんちの庭は、誰も手入れをしないから
荒れ放題だ
じいさ ....
老人が馬に乗ってすれ違っても
別に驚かないような、日だ。
薄暗く、降ったり止んだりの雨
いつまで経っても乾かない、日だ。
とぎとぎの車の音はいやにでかい
のに、通り過 ....