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その痩せた枝に忍び寄る風は音もなく
尖端に震えている明日 けれど確かな鼓動のように
その鼻筋に流れる涙はかなしみではなく
指をのばし拭い去ればただ あたたかな頬のぬくみ
僕は地に立って ....
あなたのくちびるから海がこぼれる
塩からい水が胸を濡らすから
わたしは溺れないように息をする
そっと息をする
空の高みが恋しいと指先をのばし
両手を広げてみるけれど
あなたの海が追 ....
どこへ行こうか――
そう問いかける森の
落ち葉は湿って素足に心地よい
(靴は捨ててしまった)
赤や黄や私を包み込むまだ青い
木の葉よ お前の匂いにむせて
ひたむきに傾けるやさしさに ....
春の海をあげる
君にあげる
君がもう泣かなくていいように
手のひらで木もれ陽を集めたら
桜の花びらを浮かべよう
春の海をあげる
君にあげる
じっと見つめてくれたらそれでいい
そ ....
雨をひらいて いくつもの声のその中へ
飛び込んでいければいいと思った
軒下からしたたる雫が はねて、
とりとめない心に降りかかる
泣いているの、とたずねる人の
声がしたような気がして
振り ....
駆けて来る
駆けて来る
薄氷を割るように
静かなギャロップで
はるかの足並みで
銀のたてがみをひるがえし
地上へと駆けて来る
お前の目の中で火が燃えている
お前が見つめると
....
悲しい歌を忘れられない
あなたがいつか手をのばす
その先に何があるのか
指先は語る事を知らず ただ
まばたきもせずに一心に見つめる
あなたのあの眼差しが欲しいと思う
風さえも忘れる束の間の ....
裏木戸を開けると
ひぐらしがないている
あの木の下
薄暗い桜の木の下で
闇間に鼻緒が見えている
そり返った白い足の指が
細い脛が折れそうにのびて
あの時もひぐらしがないていた
....
何もかも徒労だったと誰が知る
心がはぐれそうな夜は
ただあてもなく歩くのが世のならい
街の灯りがあんなに遠い
くたびれた足で石を蹴り上げると
どこか見知らぬ闇に呑み込まれていった
....
夕暮れ、薔薇は香っていた
まだ残る夕光の中で
私は花びらをそっとむしりとる
指先がいとしくて
何かを待ちわびて
ふっと夏の透き通る波が
心に押し寄せて来て足先を濡らし
すべてを呑 ....
夜のドレープに裂け目が入る
夜明けが裾にそっとくちづけると
私はすべてを脱ぎ捨て
一羽の鷹になって飛んでゆく
まとわりつく冷気を翼で切りながら
あなたを求めて飛んでゆく
私は ....
少女服脱ぎ捨て君は駆けぬける
街角、インクの乾かない朝
追いかけて非常口ドア雨上がり
無邪気な青にだまされてゆく
水にうつる言葉も意味もないグラス
残 ....
しずかな時間に光がうまれた
わたしの心に映り形作られるもの
それは木もれ陽 それはうた
あたたかな陽だまりの中で
わたしを見つめるあなたの瞳
どこか遠いその瞳
あなたの眼差しに海が ....
わたしの頭にもやがかかってゆく
わたしの目に霞がかかってゆく
何も考えられず何も見えず
わたしはまはだかで歩こうとする
草がからみつき肌を切り裂くのもかまわずに
風になぶられる髪がど ....
あの古い家の二階の窓に
いつか見た雲が流れてゆく
雲はいつもあの窓に吸い込まれ
戻って来ない日を数える
そっと指折りをする
窓ガラスに昼の陽がさして
辺りはぱっと明るくなった
物 ....
小鳥を逃がした事がある
さみしい時に啼いてくれたのに
鳥籠にいる姿がかなしくて
僕の目の届かない世界まで遠くへやって
今もふとすると胸うちで啼いている
傷ついたその折れた翼で
....
黒い道がのびている
静かな{ルビ轍=わだち}が寄りそうように走り
道の上には白い雪が
粉砂糖のようにやさしく降り置いて
灰色の空には切り裂く翼もなく
肌を刺す冷たい空気ばかりが動く
....
夕影がひたひた伸びて心ぼそい
手の鳴るほうへ手の鳴る{ルビ方=かた}へ
最後まで残るこわさに二人して
遊びなかばで遁げるたそがれ
終わらない遊戯にも似る夕暮は
....
佐々木妖精さんの石瀬琳々さんおすすめリスト
(18)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
二月の星
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石瀬琳々
自由詩
10*
11-2-10
海のあなた
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石瀬琳々
自由詩
20*
10-7-14
メタモルフォーゼの森
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石瀬琳々
自由詩
11*
09-10-28
春の海を君に
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石瀬琳々
自由詩
8*
09-4-9
雨をひらく
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石瀬琳々
自由詩
15*
08-12-10
冬の馬
-
石瀬琳々
自由詩
22*
08-12-4
ダナエ
-
石瀬琳々
自由詩
24*
08-10-7
日暮れの家
-
石瀬琳々
自由詩
26*
08-8-19
夜の鉄路
-
石瀬琳々
自由詩
8*
08-8-6
夏至
-
石瀬琳々
自由詩
23*
08-6-19
五月の鷹
-
石瀬琳々
自由詩
16*
08-5-20
永遠中毒
-
石瀬琳々
短歌
6*
08-4-18
しずかな時間
-
石瀬琳々
自由詩
9*
08-4-3
とらわれの春
-
石瀬琳々
自由詩
10*
08-3-27
窓
-
石瀬琳々
自由詩
18*
08-2-20
Loneliness
-
石瀬琳々
自由詩
22*
08-1-7
絵本
-
石瀬琳々
自由詩
18*
07-12-19
たそがれ
-
石瀬琳々
短歌
13*
07-11-22
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