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アポロ! アポロ! アポロッ!

狂ったように燃え上がった夕陽を
無言のまなざしで受けとめる川――
その川の中州にたたずむ少年は
繰り返し繰り返し声を張り上げる
が 眼前の鰐は彼を見下した ....
その叫びは
のどもとを切り裂かれても
大地を揺るがしつづけた
橋の上の
絵巻の中の真理にも似て非なる
声を失った叫びよ
先端に棲みついた幻想が
路傍の杖を振りまわし
あらゆる影のかたち ....
わたしは昔話を聞くように
湖のあなたの前にいざなわれた

しかしもう――
わたしもあなたもすっかり疲れきっていて
遠く近く反響しつづける音を
完璧に研がれた鎮魂歌を
たんなる耳鳴りとして ....
ぼくはこれまでに一度も、
ほんものを所有したことがなかった
ことに気がついた。
かつて幾度も、ほんものらしいにせものや
にせものらしからぬにせものを、
ばかみたいにつかまされてきた。
つか ....
その急坂には海老が撒かれている
富山湾沿岸から脱獄した大量の白海老は
植物油にまみれ
砂糖 食塩 黒胡椒に寄生され
取り返しのつかぬ形状で撒かれている
絶唱さえも奪われたまま

その坂は ....
 島は一年中寒さに震えていた

 そのかわり
 言葉と微笑が薪であった

 古い柵を壊すことなく
 海岸で流木を拾うことなく
 ストーブの火は言葉と微笑を
 のみ込んだ

 我々が ....
目の錯覚であろう
一瞬 谷間の言葉と
   丘陵の言葉が
隔たりをなくす
負荷をなくし
意味をなくす

あえて平面的に観ることで
多角的なもの
こんがらがったものを
再認識する 再 ....
その灯台には灯台守が不在だった
しかし夜になると明かりがともり
海峡の向こうの
いくつもの遭難船を導いた

(遭難船からは
 漁期をのがした青白い
 懐かしい人々がぞろぞろと
 つむぎ ....
屋根裏で昼寝のにおいをかぎながら、
目をつむってうとうとしていると、
光のカーテンの向こうから駱駝が現れた。

駱駝はまるで地図のしわを引き伸ばしたような顔で、
長い間ヨーロッパ諸国を遍歴し ....
窓の外に広がる
冬枯れの野山の風景

冬の朝は好きだ
空気を吸うと
肺がきりっと引き締まる

首をすくめ
手を擦り合わす

季節は土の中から作られる
今ごろ
冬眠中の動物たちも ....
殿上 童さんの綾野蒼希さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鰐師の見習い- 綾野蒼希自由詩1*13-1-6
叫び/岸辺- 綾野蒼希自由詩3*12-12-28
湖のあなた- 綾野蒼希自由詩3*12-12-22
ほんものを見つけるために- 綾野蒼希自由詩2*12-11-28
海老坂- 綾野蒼希自由詩2*12-11-26
島の火- 綾野蒼希自由詩5*12-11-23
遠近感の喪失- 綾野蒼希自由詩5*12-11-20
灯台- 綾野蒼希自由詩2*12-11-18
駱駝- 綾野蒼希自由詩2*12-11-14
冬の本質- 綾野蒼希自由詩3*12-8-31

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