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どこにも代わりのない
私だけの詩を描いてみたい
心のなかのもやもやがそう言う

私という存在が唯一無二のものならば
出てくる言葉もそうであるべきなのではないか
そうではないということは
 ....
葉書は、
白い壁の長方形の紙の家
うすい、
厚みしかないためにひとりで立つこともできない家
寝転がったまま まだ見ぬ遠い街を夢みているのだろうか
小さな窓がある
そこに灯されるのは あかり ....
みずたまりに映ったあなたの顔を風がゆらす
泣いているようにみえた
笑っていたのに
時のひずみに落ちた時 泣きたくなるのはなぜだろう

水は知らぬまに何処へか蒸発していく
最後に残った泥のよ ....
最後の猫が死んだ
冬の夜に

耐え切れなかったのだ
冬の孤独に

私は春の真似事をして紙吹雪でとむらう
おまえにみせてやりたかったよ

桜が舞う空を
せめてこの世の美しい絵空事を
 ....
心のなかに埋まっている この磁石が 
引き寄せる

たとえばそれが砂漠に転がっている石ころだろうとも
たとえばそれが海を漂う明日をも知れぬ泡だろうとも
たとえばそれが誰も見向きもしないような ....
ふりだしはかろやかにはじまる

 雫が落ちてきた
 まどろんだ鼓膜の扉をたたく音
 あれは雨の歌
 いたづらに
 たのしげに
 むてっぽうに
 今日というちっぽけな空洞を響かせる

 ....
冬の夜
わたしのうでは母に貸すものと決まっていた
ほどかれたセーターの毛糸の輪を
うでに通してかかげていると
母はそのはしをくるくると巻き取って
毛糸玉を作る
単純な作業は退屈で よく居眠 ....
雨上がりの朝 音楽会は終わり あたりは拍手のように光っていた

──終演

濡れた落ち葉は閉じられた楽譜 土に還る日を待つのだろう

    ──静謐

鳥は何の疑問もなく冬へと向かう ....
夜汽車の音を聴きにいく
眠れぬ夜のなぐさめに

長く尾をひく汽笛
行く人のさよならのように

旅のゆくえを指し示す
線路のむこうは闇に溶けている

行かない者のさみしさを
私はぼん ....
春に生まれた掌が
今 燃えている
血管に赤い血をめぐらせて

秋の沸点はとても低い

燃え尽きたあと
何もつかめないまま
地に落ちる たったひとつの
例外もなく
執着もなく
燃え ....
海に心を映してみれば
おんなじだよと
波がいう
満ち足りぬ
満ち足りる
くりかえす 
やさしい
さざ波
消えた家族のその後は誰も知らない
あのあたりの地主だったという 長男が
次々とこさえた借金を返済するために
土地を売り飛ばし とうとう最後は自宅まで
手放したらしい

跡地にはマンションが ....
わたしのなかに泣き女が棲んでいる
彼女はただ静寂なかなしみだけの世界にいる
声も持たずに泣いている
泣くという行為が彼女の全てであるように
花よ、咲くなと泣いている
花が、咲いたと泣いている ....
晴れた日曜日に車を走らせれば
道々に白いけむりが立ちのぼっている
枯葉を燃やしても
人を燃やしても
家を燃やしても
出せなかった手紙を燃やしても
その煙の色は白い
かたち在るものは
燃 ....
引越しの朝は
言い換えれば
旅立ちの朝

窓を開ければ梨畑が広がる小さな部屋であった
季節が巡れば白い花が再び咲くことだろう
春の雪のように
ほんの仮住まいといえ
思い返せば数年の愛着 ....
晴れた日に口紅を買う

いろいろ遠回りをしたけれど
やっと自分に似合う色をみつけた

女はもともと紅い口紅をつけて
生まれてきたのに
日々の雑事に追われて
いつのまにか
それは色あせ ....
日曜日 うっかりペットショップをのぞいてしまう
生まれたばかりのかわいい仔犬が
ガラス越しにじっとわたしをみつめてくる
さっきまで泣いていたかのように黒い瞳が濡れている
この人はここから連れ出 ....
横向きで寝る
いっさいの灯りを消しても
消せないものが浮かんでくる
まぶたを閉じても
眼球が光のない世界で動くように
スイッチを切ったつもりでも
同時にもうひとつのスイッチが押されている
 ....
夕刻の道
ヘッドライトをつけると
うす暗い未来に
灯りが
ともる

おまえのゆくべき道は
目の前にあるではないかと
指をさすように

向こうからも
ふたつの光の輪が
あらわれて ....
なでられて
ほおずりされて
よるはおなじふとんのなかでだきしめられて
ときには はらだちまぎれにほおりなげられて
なみだやよだれをつけられて
それでも
きみはいつもわらっていた

きみ ....
 人の爪の根元に、白い浮島があることを知ったのは小学生の頃。

「これね、大きいほど元気な証拠なんだって。病気になると薄くなったり、小さくなったりするらしいよ」
 友達から教えてもらったなんの根 ....
海に似せた塩水の中で
アサリが生きている

暗い冷蔵庫の中で
触手を伸ばし
冬の海だと勘違いする

時々さみしくなって
ステンレスボウルの海底で
誰かを探してキュウと鳴く

わた ....
砂埃の舞う通りを
風鈴屋が行く
わたしは手をとめ
格子戸の隙間から
そっとのぞく

リヤカーを引くのは
妙に血色のいい男
ほんとうは人買いなんだと
おかみさんが言う

色とりどり ....
家の中の草原です
それは
冬の朝であっても
凍らない草の原

人に踏まれて
煙草の焼け焦げをつけられ
とうに瑞々しい緑は失われ
白茶け くすんで 擦り切れている

それでも私は草な ....
冬の朝のフローリングは
薄い氷が張っている

朝一番に起きて
冷たい氷を踏むのは私の役目
ぱりんぱりんと音をたてて割り
かまどに火を入れ朝食を作る

陽が昇り
村人たちが起きる頃
 ....
親指が落ちている
孵化できなかったさなぎのように

雨に濡れている誰かの親指
生まれ変わることが
喪失の上のなりたつならば
感傷ははなから捨てなければならない
でなければ
君のように
 ....
誰かが案山子に
帽子を被せた

誰かがお地蔵様に
上着を着せた

寒ぅなりよる
風邪ひかんでね

誰かが誰かのために
祈っている

なんの変哲もない
道々で
おとぎ話を温め ....
柔らかい つのは
とても臆病

誰かに触れるたび
驚いたように
身を縮める

もうこれ以上傷つけあいたくないのです

この世がそんなに怖いなら
堅い殻の中に
ずっと眠っていればい ....
赤ちゃんがいると
赤ちゃん言葉をしゃべりたくなるのは
ちょっとだけ
赤ちゃんになると
楽しくなるから

みんな赤ちゃんの頃があったのに
記憶はないから
二度目の赤ちゃん役をやってみる
 ....
サンズイに雨、
雨がふると
淋しくなります

しとしと言う雨も
ざあざあ言う雨も
ぽつぽつ言う雨も
どんな雨だって
淋しくなります

地面の下に埋めた
あなたの骨は
永久に芽を ....
殿上 童さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(530)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
アルビノ- そらの珊 ...自由詩17*12-11-29
紙の家- そらの珊 ...自由詩21*12-11-27
水鏡- そらの珊 ...自由詩10*12-11-27
絵空事- そらの珊 ...自由詩1712-11-23
磁石- そらの珊 ...自由詩21*12-11-21
雨粒- そらの珊 ...自由詩1212-11-20
ふゆのうで- そらの珊 ...自由詩23*12-11-16
冬鳥- そらの珊 ...自由詩2012-11-15
夜汽車- そらの珊 ...自由詩1912-11-13
- そらの珊 ...自由詩23*12-11-9
さざ波- そらの珊 ...自由詩1912-11-8
消息- そらの珊 ...自由詩1212-11-7
泣き女- そらの珊 ...自由詩1612-11-6
白いけむり- そらの珊 ...自由詩14*12-11-5
つばめよ、つばめ- そらの珊 ...自由詩17*12-11-2
ポム・ダムール- そらの珊 ...自由詩14*12-10-31
ペットショップで- そらの珊 ...自由詩1512-10-30
夜へ- そらの珊 ...自由詩20*12-10-29
ヘッドライト- そらの珊 ...自由詩13*12-10-27
ぬいぐるみ- そらの珊 ...自由詩8*12-10-26
浮島- そらの珊 ...自由詩14*12-10-25
擬似世界- そらの珊 ...自由詩16*12-10-22
風鈴屋- そらの珊 ...自由詩8*12-10-21
冬の朝の畳- そらの珊 ...自由詩1012-10-20
冬の朝のフローリング- そらの珊 ...自由詩20*12-10-19
親指- そらの珊 ...自由詩1012-10-17
稲刈りが終わったら- そらの珊 ...自由詩812-10-16
柔らかい_つの- そらの珊 ...自由詩1612-10-16
ばいばい- そらの珊 ...自由詩15+12-10-15
淋しい林- そらの珊 ...自由詩1712-10-14

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